患者たらい回し
以前子供の患者がいろんな病院をたらい回しにされて死んじゃった、なんて話がありましたが、今回@nifty:ブログ(blog)サービス「ココログ」:トラックバック野郎の「恐怖、ヒヤリ」に無理やりかけて、別のたらい回し話を。ある意味怖い話なので参考まで。
私は職業がらやぶ医者をやってますが、とある中堅総合病院に週一度行っていたときのことですが・・。だいたい、大学病院あたりになると内科といってもさらに細かく循環器科とか、消化器科等と分科しています。が、普通の病院では内科というとそこまで分かれていないことが多く、内科医にとっては時に専門外の患者を見なくてはいけないことが多々あります。この細分科については議論も多く、一概にいいとも悪いとも言えませんが、ある意味その弊害の一例を。
とある患者さんが、体調が悪くその病院にかかりました。その時対応した内科医1号は、「Aという病気が考えられますが、確認のため血液検査をしましょう。」といって、結果が出るころに再来するよう指示。しかしこの結果が出るころというのは内科医一号が外来をしない日なので、内科医2号が結果を見て、患者に説明した。「やっぱりAという病気が疑われるが、もっと詳しい検査をしてから治療しましょう。」といって別の血液検査を出して、結果が出るころ再来するよう指示。しかしこの結果が出るころというのは内科医2号が外来をしない日なので、内科医3号が結果を見て、患者に説明した。「あなたの病気はAという病気です。しかし、別の病気が隠れているといけないので、超音波検査もやっておきましょう。」といって症状を和らげる薬を出して、結果が出るころ再来するよう指示。そして、その日は内科3号が、外来日ではなく、私の外来日にその患者はやってきました。
初診から2週間以上たっていました。その間、悪化しなかったのは幸いですが、根本治療となる薬は使われていませんでした。はっきり言いましょう、1号、2号、3号みんな「A」という病気の専門ではなかったので、治療ができなくて「たらい回し」にしたわけです。ちなみに私も厳密にはAと言う病気の専門とはいえませんでしたが、治療経験は十分あったので、お薬を出して、「来週の私の外来にきてください」と言っておきました。が、同時に患者さんには、「私はこのAという病気の専門ではありません。」ともはっきり言いました。こういう、自分の技量が無いことを宣言するのもいいことか悪いことか賛否両論あるとは思いますが、この患者さんは納得されたので、私の外来に通院されました。
この同一科内たらい回し。医者のプライドが、その病気を診る技量がないということを言うことを許さないから起こるんでしょうかね?。私にそんなプライドはありませんが。これとは全く逆で、症状によっては、「その症状はうちの科じゃないよ」と各科で言われる、院内たらい回しっていうのもありますから、いやはや、困ったものです。
ということで、これ以上内容を掘り下げることはしません。
そういえば、宝くじ当たらないかな・・。かめさま!!。
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