無駄論的人間進化論
以前、進化論について、ぼやいてみたこともありましたが、今回、週刊!木村剛にて、飽食と生活習慣病に関するエントリーがありましたので、人間の進化、淘汰とかけて、同様にぼやいて、いや、ぼけてみたいと思います。
糖尿病という病気をご存知でしょうか。ある意味、生活習慣病の代名詞であり、「現代版万病の元」と考えられる病気です。この糖尿病に関してのイメージは、生活習慣病という名前から、なんとなく贅沢病とか、ぐうたら病なんかを想像してしまいます。もちろん、そういう面があることは否定出来ませんが、とある先生がこの糖尿病の遺伝的背景について面白いことを言われていました。糖尿病は必要以上に食べすぎることが原因ですから、見つかり次第食事制限となります。制限せず食べ続ければ、血液中の糖の値(血糖値)が高い値で推移し、いろいろと障害を起こしてしまいます。ところで、この糖尿病の特徴は、逆に言うと、「少しの食事で血糖値を保つことが出来る」ということになります。ということは、言い方を変えると糖尿病の方は飢餓に強いんです。このことをそのとある先生は
「氷河時代とか、飢餓状態を生き抜いてきた人類の祖先の名残なんでしょう」と言われるのです。ふむふむ、なかなか面白い説です。その真偽のほどは分かりませんが、大変興味深い話で、いろいろと考えさせられます。今後、世界大飢饉が起きて、大半の人類が滅亡したとき、生き残っているのは、糖尿病の方だけかもしれません。今の時代の飽食の程度がいかにひどいものかがわかるというものです。
飽食とは全く関係ない話ですが、人類の進化に関して、大変参考になる(?)説を唱えられた、高名な先生がいらっしゃいますので、ちょっと寄り道を。サルから人間が進化してきたことは、日本人なら誰でも当たり前に知っていることです。このサルと人間でもっとも大きな見た目の違いは、体毛がなくなってしまったということです。つまり、進化の過程で体毛を脱ぎ捨ててしまったわけです。そのことに関して、その高名な先生がこんな話をされました。
「私の頭も徐々にはげてまいりました。しかし、なにもはげていることを嘆くことはありません。人間はサルから進化する過程で、毛が生えなくなったんですから、我々はげているものは最も進化した人間なんです。」私の説ではありません。ある、高名な先生が言われたことです。進化した皆様からのお叱りがないことを祈るばかりです。
無駄論的な人間の進化についてのお話でした。
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コメント
糖尿病と頭部脱毛(薄毛)について。
彰の助さんの考えはどうなんですか?他の高名な先生の話よりも聞きたいです。
糖尿病の患者さんにつぃてなのですが(私の父、祖母も糖尿病です)、糖尿病の患者さんはほかの病気の患者さんに比べて、病識が乏しいこと、都合のよい解釈を度々することが目立ちます。
①糖尿病になった原因を「遺伝」と決め付けて、もう治らない んだとあきらめて、食事制限、運動療法を勝手にやめてし
まう。
②医師や看護師や栄養士の説明をよく聞いていない。
③自分が糖尿病になったということは家族もその可能性がある ことまでは拡大して心配してみることはしない。
④摂生すれば薬が減らせることを知っても努力しない。
⑤一生付き合うことになった病気だとその深刻さに気づかな い。
⑥合併症は自分に限って無いだろうと根拠の無い楽観視をす る。
私の家族を含め、患者さんに顕著に見られる傾向を書いて見ました。
頭部脱毛(薄毛)についてですが。
高名な先生のご意見はあくまで負け惜しみといいますか、負け犬の遠吠えといったものですね。
その先生が誰もがうらやむフッサフサの美髪だったら、そのようなジョークが出たとはとても思えません。
頭部脱毛(薄毛)につぃてはもう既に原因理由と治療法が解明されているので、高名な先生のご意見が正しいものではないことはどなたにも明らかだとは思いますが。
医師という職業柄、常に精神・肉体的ストレスにさらされ、睡眠時間が極端に少なく、お風呂に入る時間があったら論文・文献に目を通したい、レセプト、カルテをチェックしたい、たまには美味しい小洒落たレストランに行って滋養をつけたいと思うために,体中の血管が収縮して、血圧は上がるは、頭は禿げ上がってくるは、運動不足で血糖値は上がるは、なのではないでしょうか。
私が思うに、医師の頭部脱毛率、糖尿病(傾向も含めて)罹患率は非常に高いのではないでしょうか?もちろん医師以外の中年(40歳以上)の男性に比べてです。
頭部脱毛(薄毛)の改善は一にも二にも、頭皮の汚れを毎日奇麗に洗い流すことから始まるはずですよね?不潔が大敵。
頭皮の洗い方が間違っている人ほど頭部脱毛が激しいそうです。
先日の「あるある」で実験してましたよ。
投稿: 祇園 | 2004/11/09 17:35
祇園様、コメントありがとうございます。
確かに糖尿病の方には病識のない方が少なくありませんね。何しろ、高血糖の症状はほとんどありませんから。自覚できないわけですね。透析になって初めて気づいたりして・・・。
でも、とんでもない糖尿病だったのに、薬も飲まなくてよくなちゃった患者さんもいます。全然病識がないと叱られて、別の先生からさじを投げられ私のとこに来た患者さんもいますけど、そんな人が今ではHbA1c 13だったのが5台だったりするわけです。がんばってる患者さんもたくさんいますから、少しでも病気について理解してもらえるように医療関係者としてがんばりましょうよ。ね。
あと、薄毛についてですが、もちろんしゃれですから、真剣になってもらうと困りますよ(笑)。「医者は身奇麗に」とは常づね思っているつもりですが、当直で、シャワーも浴びれないときもありますし、なかなか、厳しいものもあります。脱毛率や糖尿病罹患率が高いかどうかはわかりませんが、概ね、平均寿命は高くないでしょうね。医療関係者で無い両親からは、「要領よく仕事しろ」などといわれますが、そんなこといわれてもね・・。
いやいや、ただのぼやきになってしまいました。医療関係者以外の方がたくさん見ておられますので、やぶ医者のいい加減さがばれるといけないのでこの辺りで失礼いたします。
投稿: 彰の介 | 2004/11/09 21:57
祇園さんがあげている、①~⑥の特徴は、「糖尿病性格」として、業界では有名ですよね。もっとも、私は糖尿病は専門ではないので、その詳細な意味づけ、因果関係については良く知りませんが。
糖尿病も高コレステロール血症も高血圧症も、ある環境下では生存に有利に働いたはずのものが、現在の生活環境では不利になっているといえる。糖尿病ではブドウ糖、高コレステロール血症ではコレステロール、高血圧症ではナトリウム、それぞれ人類発生の頃は、不足こそすれ、多すぎることなどなかったはずのものが、多くあることが原因で起きる病気だとも言える。いろんな環境で、人類全体が滅びないように、いろんな代謝レベルの人間がいると考えられている。ブドウ糖が高めの人は飢餓に強いだろうし、コレステロールが高めの人は抗炎症物質であるアラキドン酸が多く産生されて感染症に強いだろうし、高血圧の人はナトリウムを身体に保持して脱水に強かっただろう。・・・・ただ、本当に有利だったのは、それぞれ、病気にならないぐらいの軽度の「傾向」を持つ人で、今発症している人は、やはりちょっと程度が行き過ぎかも知れない。・・・そんなこと、つらつら考えておりました。
投稿: mia | 2004/11/09 22:12
mia様、コメントありがとうございます。
いや、mia様が語ると、学問的でいいですね。
私が語るのは、お恥ずかしいばかりです。
また、今後も、医療監修お願いいたします。
投稿: 彰の介 | 2004/11/09 23:20
彰の介さま,まず昨日のお名前の誤字、申し訳ありませんでした。
それとご返答を彰の介さま,miaさま、ありがとうございました。
糖尿病についてはご指摘のとおりで、医療従事者であれば糖尿病気質(広くは血管疾患気質もあてはまるかも)が有名ですよね。
食べることが何よりの楽しみで、また戦争体験者は飢餓の苦しみを味わっていますから、食べたい時、あるいは食べ物があるうちに食べないとまたいつ食べられるかわかったもんじゃない、あるいはもったいないじゃない、という考えが身にしみて(つぃて)いるんですね。
ところで、彰の介さんの患者さんで「ほかの先生からサジを投げられたけれど、HAb1c13から5台に減った」方がいらっしゃいますが、投薬でこんなに改善したのですか、加えて運動療法、食事療法もされた結果でしょうか。
私が感じるに(この十年ほど)、医師と患者さんのコミュニケーション不足のために診療、治療に非常に危険な場面に出くわします。特に外来患者さんについてです。
それは患者さん側にも責任があるのは事実です。
医師があるいは他の医療従事者がサジを投げ出したくなる、そのことも私自身度々感じているのでわからなくもないのですが、自分の体をみせて診察をしてもらっている患者さんの医師への信頼の希薄さを感じ、また他の医療従事者に相談するという悪循環、能率の悪さを感じます。
チーム医療という錦の御旗を旗印に、でも実際は日々この目標から離れていっている気がしてならないのです。
患者さんにとって、最も信頼し、責任を感じてもらいたい医療従事者は誰かと問えば、医師ではないでしょうか?
患者さんと院内で最も接触時間の多い医療従事者は誰でしょう。
看護師でしょうか、医師でしょうか、事務受付でしょうか。
予約制が導入されても二時間待ちの10分診療で先生は話を聞いてくれない、検査結果を教えてくれない、血だけ取る、追加薬の説明をしてくれない、真剣に相談にのってくれないなどなど、病院でも開業医でも同じ話を聞きます。
私は看護師ではありませんが、医療現場の中枢部分ではない院内で患者さんと接触するたびに、そして家族に医師のいる者の一人として、そして四年前に北大第二外科で胃癌の亜全摘手術を受けたのち、小腸で胃を作ったあとのイレウスの苦しみから未だ開放されない,癌の再発に怯える父親を持つ娘として大きな不満があります。
これはもちろん、医師に対してだけの不満ではなく、自分自身に対しても持っていることです。
白い巨塔状態がまだ依然として続いていることへの不満です。
このようなこと、彰の介さんにぶつけても仕方のないことですね。ごめんなさい。
それでは。
投稿: 祇園 | 2004/11/10 20:58
祇園様、またまたコメントありがとうございます。
以前のコメントにごまかしがあったので、訂正と言うか補足します。
「全然病識がないと叱られて、別の先生からさじを投げられ私のとこに来た患者さんもいますけど、そんな人が今ではHbA1c 13だったのが5台だったりするわけです。」
この患者さんのことですが、私はまず薬を増量しました。しかし、ほとんど改善がみられなかったので、別の病院でインスリンを導入してもらったのです。ですから、HbA1cが改善したのは実は当たり前だったのです。しかし、前医からは「食事療法もしなければ、薬もろくに飲まない、どうしようもない人」と聞いていました。しかし、そんなどうしようもない人が、今では毎日朝夕自分で血糖値をはかり、記録をしっかりつけています。インスリンもきっちり打っています。当初導入されたときのインスリン量をどんどん減らすことができています。先日ついに補助的に使っていた飲み薬もなしになりました。この患者さん、本当に「どうしようもない人」だったのでしょうか?。私は特別なことは何もしていません。この患者さんに意識改革をした覚えもありません。普通に接していただけなのですが・・。
私は、この辺りに、医療の抱える問題点が見え隠れしているような気がします。何も特別なことをしなくても、問題が少しづつ解決していくような気がします。
お父上様のことは大変かと思いますが(他人事のように言って申し訳ありません)、症状が少しでも和らぐようお祈り申し上げます。
投稿: 彰の介 | 2004/11/10 23:36
祇園様へ、
>医療従事者であれば糖尿病気質(広くは血管疾患気質もあてはまるかも)が有名ですよね。
・・・実は、「糖尿病性格」と、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に見られる典型的性格は、かなり違うように思います。
虚血性心疾患の典型的なパターンは、積極的・活動的・攻撃的ないわば「モーレツ社員」タイプで、かなりキャラは強烈で、病気の説明や生活指導にはちょっと手間はかかりますが、いったん理解して下さると、非常にきちんとまじめに守ってくれます。
しかし、糖尿病を合併した虚血性心疾患では、「糖尿病性格」の影響で、人当たりは結構ソフトですが、実は説明や生活指導は、「はい」というものの、あまり真剣に捉えてくれていないようで、内容も守ったり、守らなかったり・・・
でも、糖尿病専門の医師に聞くと、糖尿病を合併した虚血性心疾患は、それでもまだいいほうで、糖尿病そのものとなると、例の「糖尿病性格」で、キャラは楽天的というか、病識に乏しいというか、生活指導は、なかなかに難しいのだそうです。
それぞれの、典型的な性格の原因となるものは、よくわかりませんが、性格の特徴をとらえて、それぞれに合った生活指導などを行っていくのが、実際の臨床の場では重要なことです。
投稿: mia | 2004/11/11 23:21