やぶ医者返上か!
前々回書いた無駄論的人間進化論に、祇園様からコメントをいただいて、ちょっとした、というと叱られますが、医療に関する問題提起をいただきました。私は、職業柄やぶ医者をやっているのですが、その問題提起に関連して、先日の外来で患者さんから信じられないことを言われてしまったので、ご紹介させていただきます。
その患者さんは、一ヶ月ほど前から微熱と風邪症状があり、私の外来にかかる前に、同じ病院に3回ほどかかられ風邪薬をもらっていました。ちなみに3回とも別の医師(つまり3人の医師)が診察しています。私は、前3回の診察の経過がわかりませんから、いつからどんな症状あったのかっていう話を最初から聞いて、今どんな症状があるのかを聞きました。患者からは、実は人間関係がうまくいってなくて、仕事も大変で、休む暇もなく、そのせいで風邪もよくならないんじゃないか・・などと言われるので、「そうかもしれませんね」なんて、いい加減に返事をしながら話を聞いていました。そして症状として、のどが痛いと言われるので、のどを見て、「ちょっと赤いですね」と言い、咳が出ると言うので、胸と背中と聴診して「別に悪い音はしませんね」なんて答えてました。
これ、私、なんか特別なことしましたかねー?。別に普通の診察風景でしょ?。でも、聴診した直後に患者さんからとんでもないこと言われちゃったんです。こんな風に・・・。
「先生、診察が丁寧だね。ちゃんと見てくれるし、問診もいろいろ聞いてくれる。先生でよかったよ。今までここで診てもらった先生、忙しいから仕方ないんだろうけど、風邪だといって薬くれるだけだったから・・・」「えっーーーーーーーーーーー!!!!!」と、つい叫びそうになりましたね。もうびっくりです。褒められてびっくりしたのは初めてかもしれません。残念ながら私、お褒めをいただくようなこと何もしていません。私の前に診察した医師3人、みんながみんな、いい加減な診察をしていたとは思えませんが、どうもおかげさまで相対的に「丁寧に診察する医師」の称号をいただけたようです。これはもう、ありがたいと言うのか、なんというのか・・・、やぶ医者返上というのか・・・。
いやいや、喜んでいる場合ではありません。これはとんでもないことです。こんなどうでもいいことで医療不信を招いているとしたら、話になりません。こんなことでは現代の医師は昔の祈祷師(きとうし)以下です。祈祷師の足元ほども患者の気持ちを捉えていないのですから。医療に社会から厳しい目が注がれていますが、それはごく当たり前のことだと認識させられました。そして、私自身も問題点がないか再点検し、やぶ医者だと、ばれないよう、気を引き締めがんばりたいと思った次第です。
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コメント
おそらく、彰の介さんが、きちんと「きいていた」からじゃないかな、と思うんです。
相談されることが多い私ですが、しっかり聞くとか、相手が「聞いてくれた」と感じられるうなずき方や仕草は、相手方次第だったりして、なかなか難しいですよね。
でも、今回は、きちんと「診る」ということをしてもらえた、ということを、患者さんに与えることができたのですよね。
とてもお忙しく、大変なお仕事だと思いますが…。
お体には、気をつけてくださいね(笑)
投稿: たる | 2004/11/13 02:05
たる様、コメントありがとうございます。
患者さんの気持ちを捉えると言うのは難しいです。前にも書いたのですが、厳しく言うと怒っちゃう人もいるし、自分の言うとおりの診断と治療をしないと気のすまない人もいるし・・。正直言うと、合う、合わないってあるような気がします。まあ、私の立場としては、「あんたとは合わん!」と言われないようにがんばりたいと思いますが・・。
投稿: 彰の介 | 2004/11/13 09:41