未来を見通す天才
ご無沙汰のエントリーですが、結局、またしてもほりえもんネタにしてしまいました(以前のネタ 老人とほりえもん、 「メディアとインターネットの融合」の意味って?)。ほりえもんネタに飽きている方申し訳ありません。
私のほりえもんに対する評価なのですが、時代を切り開く力を持っていることに関しては、我々の想像をはるかに超えている天才だと感じます。しかし一方で、起きること起きること全てに「想定済み」と答えているところには、逆にかなりの危うさを感じてしまいます。そもそも、「想定済み」などと言えるほど未来が見えているのならば、ここまで問題がこじれることはなかったのですから。天才の天才たる条件の一つに、未来を見通す力を持つということがありますが、さてさて、現実にそんな天才はこの世に存在するのでしょうか・・・。
私は、このブログの中で、織田信長について何度か書きました(無駄論的織田信長様、明智光秀にきまっとる!)。歴史家の織田信長に対する評価を考えてみると、戦国時代の混沌を打ち破った日本史上稀有の天才というところでしょうか。新しい時代を見抜き、最新兵器である鉄砲を大々的に使用し、一気に京都を制圧して主導権を握り、古き遺物を捨て去り、天下統一の寸前までこぎつけました。ほりえもんと織田信長を同列にするのもなんですが、未来の可能性あるものを見抜き、一直線に古き物と戦いながら進んでいくほりえもんは、織田信長に似ている・・・かも知れませんが、そんなこというと信長ファンに怒られるのでしょうか。しかし、そんな天才と呼ばれ、まるで未来を先の先までお見通しだったとも思える織田信長ですが、最期の最期に大ちょんぼをしでかしました。そう、明智光秀による本能寺の変です。織田信長を題材としたドラマや映画を見ると、織田信長の最後は、「果敢に明知勢に弓を引き、これまでと思った時に敦盛を舞って自害」みたいなかっこいい死に様を用意してもらっているため悪いイメージがありませんが、よ~く考えてみれば、こんな間抜けな死に方はありません。自分の第一ともいえる家臣に、ほとんど無抵抗の形で完璧な暗殺をされたんですから、信長を「日本史上における稀有の天才」としちゃっていいものかどうか・・。それこそ、「想定外」の死に方をして、油断の代名詞になっている今川義元がかわいそうです・・・。ちょっと違う?・・・か?。
ほりえもんは信長と同様、時代を切り開くという意味では天才なのでしょう。しかし、そんな時代を切り開いた先の、未来のほりえもんがどうなるか、そんなことは決してわかりません。わからないというのは、天下統一できるかもしれないし、途中で一文無しになるかもしれないし、それはそれこそどんな天才でもわからないという意味です。信長も天下統一目前で大ちょんぼしてしまいました。だから、ほりえもんが天才だから、ほりえもんのやり方が間違っていないから、ほりえもんの考える未来像がすばらしいから、だから、ほりえもんが天下を取る、とは限らないでしょう。あくまで、天下を取ってみたら、その手法が優れていた、そのビジョンがすばらしかったといわれるわけで、つまりは結果論です。信長は天下一歩手前まで行ったということと、弟子の秀吉が天下を取ったということで、その手法が結果論として今日評価されていると考えられます。ですから、現在のほりえもん的手法が正しいやり方なのか、それとも間違ったやり方なのか、それらは本来、結果論として後から評論されるべきものなのかもしれません。時代を切り開いて、バラ色の世の中をほりえもんが創り出してくれたのなら、その手法も含めてすべてが評価されるでしょうし、途中で撃沈したり、出来上がったものがつまらないものだったら、手法を含めて、ついでに人間性もふくめて何もかもが否定されてしまう可能性があるでしょう。
実は、そんな結果論ですべてを白黒させようとしているのは、「想定済み」を連発しているほりえもん自身です。自らは全てを見通していると宣言しているのですから、白か黒しかありません。普通の日本人的には(これまた、おじん臭い意見ですが)、この「想定済み」という言葉は、どうしてもいやみに聞こえますし、後で救済の手を差し伸べる気にならなくなってしまう言葉です。本当に想定済みであれば、信長を超える真の天才と言えるわけですが、凡人の私が真の天才かどうかを見抜くことなんてできるわけありません。そのあたり、凡人は凡人なりに過去の天才と比べて、天才ほりえもんに危うさを感じているわけで、後になって、「撃沈するのも想定済みでした」なんて言わないことを祈るばかりです。
この記事は[ゴーログ] ホリエモンはビジョナリーか?へ無理やりトラックバックさせていただきました。
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コメント
彰の介さん、こんにちは。彰の介さんの掘り下げる「ほりえもん」話題、面白いですよ。
ところで天才の“想定済み”ですが、あれほどの天才・信長ですから、意外と「撃沈するのも想定済みでした」だったのかもしれませんよね、って言うか、その方がドラマがある。
暗殺される前後および当日の信長の脇の甘さ、どうもその危険さを分かっていた様な節もある。それとも、それが見えなくなる程「裸の王様」にさせるのが権力の恐ろしさなんでしょうか。
ホリエモンが歴史の不思議な力に消された信長になるのか、それとも3度の失脚にもめげず復活した鄧小平になるのか。それはご本人の心がけとその時代精神次第、と言ってしまっては話としてはつまらないでしょうか。
投稿: kaku | 2005/03/15 10:20
kaku様、コメントありがとうございます。
ドラマとしては、ほりえもんに一度死んでいただいて(笑)、生き返ってもらうのが面白いかもしれません。「想定どおり生き返りました」とか発言していただくと楽しそうです・・・。言いすぎ?。
投稿: 彰の介 | 2005/03/15 23:36
おいらのところの、新株優先予約権のエントリーでも触れてますが、堀江氏は、単なるお山の大将ではと思う次第で、内心はかなりどきどきなのではないかと。
投稿: でめ | 2005/03/16 10:21
でめ様、コメントありがとうございます。
正直、ほりえもんがハラハラどきどきの一般人だったら、ちょっと安心です。よく考えると、天才って天才であるためにずいぶん損してるのかも・・・って気がしました。
ほりえもんも、どきどきが過ぎて胃潰瘍になったら、やぶ医者の私がお薬を出してしんぜましょう。
投稿: 彰の介 | 2005/03/17 00:40