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2005/05/26

日本人の歴史観の原点(3)

 日本人の歴史観を、日本人の歴史観の原点(1) (2)で私なりに書いてきたのですが、どう続けようかと思ったときに、小泉首相が「罪を憎んで人を憎まず」発言をされたので、これを元に考察を続けようと思います。
 
 (1)では南京大虐殺を例に日本人の歴史観における東京裁判史観の位置を、(2)では、それにもまして、敗戦後の復興が、かの戦争を「誤った戦争」と位置づけたのではないかと考えました。
 私は、この(3)の中で、日本人が、戦争を遂行した責任者の方々の責任をどう問うてきたのか?その結果は?ということを考えたいと思います。責任論という意味では、一応、その責任者たちの多くが東京裁判にかけられ、責任を取らされています。しかし、これがまたアメリカによるアメリカのための裁判ですから、その正当性は横に置いたとしても、日本人が日本人自身で責任をとらせたわけではありません。その現実のなかで、日本人は、この戦争を遂行した責任者たちの責任は、この東京裁判でつけられたと考えているのでしょうか。いや、そもそもこの人たちに責任をとらせようなんて考えてきたのでしょうか。
 
 そんな中で、先日、小泉首相が靖国神社参拝について、自論を展開されました。

(戦没者の慰霊の仕方について)他国が干渉するべきではないでしょう。「罪を憎んで人を憎まず」というのは中国の孔子の言葉です。
罪を憎んで人を憎まずと言う言葉は、いわゆるA級戦犯に対して、「責任取らされて死んだのだから、死んでしまった人に対してお参りするのを、とやかく言うのはどうなの?」というふうに私は解釈しました。間違っていたらすみません。しかし、この自論を聞いて、私は小泉首相にぜひ聞いてみたいことがあります。それは、この孔子の言葉に関してなのですが・・・、まず「人を憎まず」という部分に対しては、何とかわかります。「死」に対して、純粋な慰霊という意味では、私も人を憎まずという言葉を否定しません。しかし、聞きたいのは「を憎んで」の部分です。A級戦犯に対して罪を憎んでと言うのであれば、一体「何が」だと言うのでしょうか。
 
 もしかして、小泉首相を含めて多くの日本の代表者が、中国やアジアへの侵略行為に関する日本の戦争責任についての謝罪を繰り返していることを考えると、A級戦犯の「罪」というのは、この日本の侵略行為のことを言っているのでしょうか。発言の文脈からいくと、どうもそれで間違いないようです。だとすれば、その侵略にあった中国に対して、「人を憎むな、干渉するな」という発言は随分むしのいい話です。ドイツ人がユダヤ人に、ヒトラーを(死んだのだから)憎まないでほしいし、ヒトラーの墓(があるのかないのか知りませんが)にお参り(公人がすることはないでしょうが)することに文句を言う権利はありませんよね・・・なんて言ったら怒られるでしょうね。つまり、中国人自身が、過去を忘れる、水に流すという意味で「罪を憎んで人を憎まず」というならともかく、罪を犯したほうの日本人がそれを押し付けるのはあまりに都合が良すぎます。
 
 しかし、罪を感じている小泉首相の考えとは違って、かの戦争や朝鮮半島の併合そのものに「罪はなかった」と考えている方も多いようです。私は個人的に、「罪はなかった」とはとても言えないと思っていますが、まあ、仮にかの戦争が正当な戦争であったとしましょう。だとして、もう1つ、戦争を遂行した方々には「罪」があるのではないかと考えています。それは「日本国民に対する罪」です。兵隊さんには人命軽視の攻撃をさせ、日本本土が空襲にあっているというのに広島・長崎に、原爆が落とされるまで戦争をやめようとしませんでした。このことは罪とはいえないのでしょうか。実は、(2)で書いたように、戦後、その敗戦による日本の大発展のため、その罪を問うことなんて忘れてしまっていたような気がしますし、また、アメリカが勝手に裁判やって当事者が裁かれしまったために、日本人は正にこの戦争の責任者の方々に対する総括をしてこなかったような気もします。
 
 私は、最低限、この方々の人となりは憎まなくとも、「罪=敗戦の責任」はとってもらわなければいけないと考えています。というのも日本人の自虐的史観の原因のひとつに、この責任論のあいまいさがあるような気がしてならないからです。それは、無意識的に、罪や責任は国民全体で抱えてしまっているということです。自虐的史観を「朝日」や「反日的日本人」のせいにするのは簡単ですが、それらの人の言うことを「国民の罪」として受け取る下地がなければ、現在のような歴史観に到達することはなかったように思います。(4に続く・・・続かないかも・・・)

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コメント

小泉さんは、言葉の意味も碌にわからないのでしょう。恥ずかしいですね。一国の代表がこれでは

投稿: しゅういち | 2005/05/27 00:34

彰の介様
1953年8月3日の衆議院本会議で「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が採択されました。
サンフランシスコ講和条約発効後、不当な東京裁判の判決に国内から激しい批判と抗議が湧き起こり、戦犯とされた方々の名誉回復が叫ばれ、戦犯釈放に四千万人もの署名が集まりました。それは国会でも同様であったため、全会一致での採択となったのです。
日本の国内法では、東京裁判によって有罪判決を受けたすべての人々は犯罪者とみなされないのです。いわゆるA級戦犯をはじめ、裁判で死刑・獄死した方々も法律上は、公務による死亡として扱われています。

これが当時の日本人が出した「戦争責任」に対する答えです。
開戦前の状況を考えれば、私が当時の国民であったとしても、戦争に賛成したでしょう。それ以外、残された選択肢はなかったのだと思います。
確かに日本は戦争に負けました。結果は負けです。しかし、明治維新から太平洋戦争に至るまでの日本人は、本当に努力しました。それを知らない為に日本人は自虐するのだと思います。

投稿: chichi | 2005/05/27 00:57

 しゅういち様、chichi様、コメントありがとうございます。
 私はchichi様ご指摘のことは全く知りませんでした。4千万人というのは尋常な数字じゃないような気がしますが、もしそれが当時の国民の答えとするならば、やっぱり私は上に書いたとおり異議を唱えたいですね。
 すなわち私は非国民ということになるのでしょうか・・・。

投稿: 彰の介 | 2005/05/28 00:32

彰の介様
はじめてブログを見させていただきました。この記事と28日の記事を見て大変驚いています。
彰の介さんはヒトラーとA級戦犯の人が同じだと考えているのかもしれません。わたしはA級戦犯の人は現場の責任者であると思っています。なぜなら彼らは日中戦争が始まるころから権力を握り続け、指導していたというわけではなく、一時期、日本の国策に責任を持たされていた人たちだからです。もちろん立憲君主であり政治に不介入を義務付けられていた天皇陛下の責任でもありません。

515事件の犯人に除名嘆願書がものすごく集まったり、松岡の国際連盟脱退に拍手を送ったり、戦前の日本の世論は今の中国のように強硬派が主力だったと思っています。戦争の責任はこの世論を作った人にあると私は考えていますが、誰なのかはよくわかりません。今は平和主義の先頭にいるような顔をしている朝日新聞などは犯罪者の可能性が高いと思っています。もちろんテロをしっかり処罰しなかった軍部に大きな問題があることは確かですが、軍部の誰かということになると、わからなくなってしまうのが難しいところです。

ただ、戦争責任については世論が強硬派だったのだから、責任を国民全体が感じるのは当たり前のことだと思っています。そのために必要以上に自虐的になっているのかもしれません。きっと朝日新聞なんてそうなのでしょう。


世論というご主人に押されて現場が外交を誤ったというのが戦争への道のりの実態ではないかと思っています。そうれあれば戦争の責任をA級戦犯に押し付けるのは、翌日彰の介さんがまさに指摘している「やっぱり責任は現場が取らされる」ということなのではないでしょうか。

投稿: ひろゆき | 2005/05/28 22:11

 ひろゆき様、コメントありがとうございます。
 確かに私の意見だと、時代背景をごちゃごちゃにして、一番最悪のくじを引かされた?太平洋戦争当時の為政者に責任を押し付ける形になっていました。そのあたりはご指摘の通りでした。
 ただ、非国民な私は、やっぱりちょっとひろゆき様とは意見が異なります。私の考え方は、改めて(4)として書きたいと思いますが(時間があったらですのでご容赦を)、さわりだけ述べておくと、当時の世論と外交の現場の関係が「主従関係」とは思えないということと、あくまで私の視点では「現場=国民」ということです。そんなわけで、自分としては、28日のエントリーと全く矛盾がないつもりですが、そこは素人のやぶ医者の幼稚な文章ですから、また御批判のほどよろしくお願いいたします。

投稿: 彰の介 | 2005/05/29 01:37

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