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2005/06/21

JR福知山線事故、再考

 JR西日本、福知山線のあの事故以来不通だった区間の運転が、ついに再開されたそうです。私は、あの事故についての報道にけちをつけたり、あの頃の雰囲気で批判をしたことが一度だけありますが(記者は遺族の代弁者か?)、事故そのものについてはあまり語っていません。実を言うと、事故の原因をJR西日本の体質のせいだけにしていいものなのか?、疑問に思うところがあったからです。

 事故の原因が究明されたかどうか、本当のところは知らないのですが、今のところ、オーバーランして遅くなってしまった時間を回復するため、運転手が制限速度を無視してスピードを上げすぎ、カーブを曲がりきれずに脱線したと考えていいのでしょうか。問題の本質は、この遅れることが許されない、制限速度を無視してでも時間を回復することが運転手には暗黙のうちに求められていたことで、そのプレッシャーの強大さが、現場の運転手から、経営陣には全く伝わっておらず、理解されていなかったことでしょう。
 
 しかし、残念ながら、この問題の本質というのは、「事故」が起きたからこそ表面化したものであって、あの事故さえ起こらなければ、全く問題とされることはなかったこと思われます。その理由について、私は二つのことを考えています。
 
 まず第一に、そもそもあのカーブにおいて、走っている電車が、出せる全速力で走れば必ず脱線するということを予見していた人がいるのでしょうか?。素人の私は、全速力で走った位で脱線するような、そんなやわな設計になっているわけないと考えていました。事故直後のJR西日本の会見でも、理論上電車の全速力を出しても、脱線しないはずだということを言っていました。無論、会見自体は、ただの”言い訳”会見だったわけですが、結局のところ、そんな計算はそもそもされていなかったのでしょう。事故が起こってから、その道の専門家なる方が、脱線の可能性を計算して出していましたが、これこそ、事故が起きたからこそ計算し直されたもので、元々知っていたのなら大問題ですが、誰も、専門家も、事故の可能性を予見できていなかったのではないでしょうか。
 
 第二に、上のことの関連し、そもそも、「より速くより正確に」というのは、鉄道利用者なら多くの人がそうあってほしい思っていることで、日本人にとっては極めて基本的なサービスであったはずです。これを「安全を無視した過剰なサービス」であるとして、その過密なダイヤや日勤教育などを、鬼の首を取ったように・・・私も批判してしまいましたが(苦笑)、これも、事故さえ起こらなければ顧客ニーズにこたえるための非常に強い(場合によっては立派な)企業努力とされたでしょうし、事故がおきたから、金儲け主義、非人間的教育とされたと思われます。
 
 鉄道に何を求めますか?と聞かれれば、皆さんならどう答えますか?。自信を持って「安全が一番」と答えられますか?。私なら「時間に正確」がやっぱり一番ですね。それどころか、人身事故での復旧時間を短くしてほしいとか、橋のかかっている川の水かさが増えたり、ちょっと風が吹いた位で不通にしないでほしいとか、はっきりいって、書いてる自分が情けないほど、安全なんか無視して自分の都合のことしか考えていないのが現実です。 
 不謹慎なことを書いてしまいましたが、「安全を無視した過剰なサービス」を批判する場合、やはりそのおおもとが顧客ニーズである以上、ニーズに答える努力と、その過剰な部分とを、しっかり分けて考える必要があるでしょう。
 しかし、この過剰なサービスというのを、事故が起きる前に指摘、批判するのは至難の技だとおもわれます。なぜなら、顧客ニーズにこたえてはいけないと指摘するわけですから、ふつうは企業努力が足りないととられてしまいますし、そもそも事故が起きなければ「過剰」とは気付かないものです。また、安全無視の私のような不心得者からすれば、それはサービスの低下以外の何ものでもないわけですから・・。

 私は、いろんな面で、JR西日本の経営陣や企業風土に関しては、批判されて当然だとは思うのですが、あくまで結果に対しての批判であり、今後を考えれば、「事故の再発防止」と言うのが最も大事だと考えます。
 例えば、あの魔のカーブのように、電車が全速力で突入すれば脱線してしまう可能性があるカーブで、まだATS等の安全装置が取り付けられていないような場所が、日本中探せば一ヶ所や二ヶ所や三ヶ所や四ヶ所くらいあるだろうと思われます。ところが、今のところ、ここは危険!と言う場所が指摘されているのを聞いたことがありません。もちろん、そんな場所が報道されたら、お客さんが乗らなくなってしまうので、「密かに」安全装置を取り付けて始めている・・・というのであれば、まだましですが、うちの路線に限って・・・なんて点検すらしてないところがあるのではないでしょうか。こういうことは国を挙げて、総点検してもらわないといけないでしょう。
 また、異常過密ダイヤで運行しているところや、遅れが生じやすい路線において、安全装置が不十分な場所を徹底的に洗い出して、場合によってはダイヤ改正を行わないといけないと思うのですが、今のところ、再開した福知山線以外は、ゆとりダイヤに戻した、改正したなんて話は皆無ですね。これなどは、まさに、今せっかく顧客ニーズにこたえるダイヤで運行しているのに、安全のためにサービスを低下させるダイヤに変更するなんてことが、いかに難しいかを物語っているような気がします。
 
 でも、事故が起きなきゃわからないではもう済みません。JR西日本の経営陣や企業風土の批判ばかりするのではなくて、過剰なサービスをちゃんと分別し理解して、サービス切り下げの覚悟を乗客の側が決めないと、またあのような悲劇を繰り返すことになるかもしれません。

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コメント

いつも拝見させていただいています。
原本は明らかにできないんですが、国土交通省が鉄道事業者に示した「速度超過防止用ATS等の緊急整備について、5月時点において、試算された条件(JRは狭軌1067ミリ、民鉄は広軌道1435ミリ=これと曲線半径と速度差を加えた)をあてはめた場合の曲線の箇所がJRの場合2099箇所(うち既設設置箇所が134)となっています。

投稿: makyabery | 2005/06/21 13:10

makyabery様、コメントありがとうございます。
よく意味がわかっていませんが、要するに全国には2000ヶ所近くやばそうなところがあるってことですか?。やっぱりやばいです。こそこそでもいいから、さっさとATSつけてほしいものです。

投稿: 彰の介 | 2005/06/21 21:07

いつも読みに来てます!!ちっちです!!

まだ報告してませんでしたね!????
お知らせです!!!
ここのような高級なBLOGにリンクして頂けてめっちゃめちゃ嬉しいです!!!
で。。。。LIVEDOORにお引越し!!しました!!!!
変更是非是非お願いします_(._.)_

投稿: ちっち | 2005/06/21 22:41

>さっさとATSつけてほしいものです。
2~3年以内に新型のATSを取り付けるよう義務化するという記事を読んだ覚えがあります。

投稿: ひろ | 2005/06/23 00:02

ひろ様、コメントありがとうございます。
2~3年って言うのは、早いんでしょうか?遅いんでしょうか?、やろうとするだけましなんでしょうか?。とりあえず、事故の教訓はちゃんと考えられていると判断してよさそうですね。えっ?本当?。
ちっち様、追加リンクしておきました。またのお越しをお待ちしております。こちらも内緒で、ブログ覗かせていただいています・・・。

投稿: 彰の介 | 2005/06/23 00:23

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