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2005/07/30

日本人の歴史観の原点(7)

 前々回の批判テクニックを論破するでは、私の言うところの正当化史観の一部論法についてもちくりとさせていただきました。昨今の中韓の反日に対抗する形で花盛りとなっているこの正当化史観について、私の疑問点を述べたいと思います。
 
 正当化史観が花盛りとなった理由は、その気持ちよさ、心地よさからでしょう。そもそも日本人には、中国や朝鮮に対して、悪いことをしたという負い目の気持ちがあります。そのために、中韓に対して謝罪や金銭の援助が行われてきたわけですが、昨今の中韓の対日姿勢は、残念ながらこの負い目につけ込んだ行為があまりにも目立ちます。そして、日本人はこの負い目とつけ込み行為に葛藤するはめになるわけですが、そんな時、日本の過去の歴史に過ちはなかったという解釈があればこんなにスキッとすることはありません。日本の歴史に過ちがなければ、負い目がなくなり、つまりは、つけ込み行為の理由がなくなり、一方的につけ込んでいる中韓が悪いと言うことができます。どうもそんなもやもやを吹き飛ばしてくれるような歴史観、すなわち正当化史観が花盛りになったのだと考えられます。

 私は、正当化史観に関し、歴史の事実を振り返り、正しく解釈しようとしている部分があるため、全てを否定しているわけではありません。例えば、(1)で南京大虐殺のことを書いたのですが、この象徴的事件について、日本人として事実が知りたいと思うわけです。ところが、今までは事実を知ろうとする行為そのものが悪のような雰囲気がありました。反省一辺倒の歴史観からは、事実の確認すらできないどころか、事実無根の負い目を日本人に負わされ、つけ込み行為をさらにエスカレートされるはめになってしまうわけです。事実を見つめ直すこと、そういう意味での正当化史観は切り口としての威力が強く、当たり前だと思っていたことに“おやっ”と思わせる事ができる点に関して相当な力を持っていることを認めざるを得ません。

 しかし、残念なのは、正当化史観の目的が、歴史的事実を正しく解釈しようとすることではなく、日本の歴史の正当化にあることです。何のための正当化かと言えば、うっとうしい中韓に物を言わせないために、日本の負い目を取り除くための正当化でしょう。
 例えば、批判テクニックを論破するで書いたこともひとつです。日本が植民地支配をしたことに対して謝罪を繰り返していることとは反対に、ヨーロッパ列強が旧植民地国に対して謝罪を繰り返しているなんて話は聞いたことがありません。日本にはあれだけ怒っている中国には、つい最近までイギリスの植民地がありました。ところがイギリスと中国の間に「不幸の歴史云々・・」なんて会話は全くありませんし、うわさによるとイギリスの教科書にはアヘン戦争の記載がないと聞いたこともあります。こんな事実を突きつけて、「日本のどこが悪いんだ!」と言いたいようですが、こういう事実があったとしても、日本の正当化につながらないのは上記エントリーで書いたとおりです。これはただのイギリス批判と中国の偏った歴史観を言っているに過ぎず、日本も悪いと認めてしまっているだけのことです。

 他に、例えば朝鮮半島の併合について、正当化史観では次のような事実をあげています。
 朝鮮半島は日本がロシアと戦わなければ、結局ロシアの植民地にされていた可能性が高い。日露戦争後の朝鮮半島の併合は手続き上全く問題がなく、諸外国で反対した国はない。朝鮮側から併合してもらいたいと申し入れがあった。併合後、人口が併合前の3倍になった。すなわち前政権下の圧制から開放され、善政がしかれた証である。土地を強奪したかのように言われるが、日本人の土地となったのは高々数%である。言葉を日本語にしたり、名前を日本風にしたり、日本の宗教を押し付けたかのように言われるが、そもそも日本人と同格に扱うと言うことであり、他の列強による植民地支配での植民地国民の扱いとはくらぶべくもない。労働者の強制連行、強制的な従軍慰安婦など存在しない・・などなど・・・。

 私が言いたいのは、これらの事柄が事実か否かではありません。上で書いたように、これらのことが事実だとして、結論として何が言いたいかが問題です。結論、それは「日本の朝鮮半島の支配に関し、日本人は全く負い目を感じる必要はない」ということでしょう。さらに過激に「何も負い目を感じる必要がないのに、わざわざ自虐して謝罪を続けるようなことをするからつけ込まれるのだ、日本が悪いなんて言ってるやつは、反日的日本人、売国奴だ!」と主張するにいたっています。
 
 そんな正当化史観を唱える方に、私は1つ質問してみたいことがあります。
もし、日本が正当な手続きで朝鮮半島を併合したから、日本が朝鮮に善政したから、朝鮮人を日本人と同等に扱ったから、日本の歴史に問題はないというのであれば、もちろんその逆も受け入れるのですね?。
 架空の話ですが・・・、歴史の流れがちょっと狂って、日本が明治維新に大失敗し、列強の植民地にされてしまった。そして大韓民国は大改革に成功し、一気に列強と肩を並べるまでの力を得るに至った。そんな中、韓国軍が日本に進軍し、列強を追い払い、日本を正当な手続きで植民地化した。日本語は禁止され、韓国語が強制され、私の名前も「ぺ・ヨンジュン」に改名させられ、神社仏閣が取り壊された。列強の搾取とは全く違い、インフラが整備され、人口も増え、身分制度も崩壊し、江戸時代とはくらぶべくもない韓国支配による平等で豊かな生活を送ることができるようになった。韓国は白人支配から日本を開放したと主張した・・・。
 
 ・・・としたら、正当化史観の方は、韓国のしたことに、日本人として全く疑問を持たないということになりますね。韓国はいいことをしたのだから日本人として文句を言うことはないと・・・、いや~、その度量の広さにはすばらしいものがあると思います。
 しかし残念ながら、私にはそんな度量の広さはありません。私は誰がなんと言おうと、屁理屈を言おうと正真正銘の日本人です。もし過去の歴史が上のような歴史であったら、豊かになろうがなるまいが、正当であろうがなかろうが、私は日本人の誇りをめちゃくちゃにした韓国を絶対に許さないでしょう。いやむしろ正当化史観の方々のように、他国による日本の支配を認めるような日本人としての誇りを失った人々に「この反日野郎!売国奴!」と罵声を浴びせたに違いありません・・・。

 私は、上に書いた逆の歴史を全く受け入れることができませんので、日本人として過去の日本の行為を正当化することはできません。しかし、一つ一つの歴史的事実をすべて否定しているわけではないのです。日本が韓国にある意味で善政をしたのも事実でしょう。しかし、それと正当化は別問題ですし、韓国のつけ込み行為とも関係ありません。負い目の部分はやっぱり負い目であって、そこから目をそらすことはできないのではないでしょうか。実は戦後60年もたって、この負い目の部分の検証が行われていないのではないかと感じています。形ばかりの謝罪を行うことによって反省を見せかけることよりも、負い目をさらけ出して日本人として真の事実を知ることこそ大事であると感じます。その上で、その下地があって初めて日本の善政部分、中韓のでっち上げの検証、つけ込み行為への反論ができるのではないでしょうか。私はそう考えています。

 こんな私の考え方は全く受け入れられないという方も多いかもしれません。しかし、最後に1つだけ言いたいことがあります。昨今、主にこの正当化史観を唱える方々が、たやすく「反日的日本人」とか「売国奴」等という言葉を使うような気がします。しかも公的な場で、大学の教授や政治家、評論家といわれる学識の高い人までが当たり前のように使っています。しかし、私はいかなる理由があろうとも、言論上、あるいは思想上の問題で、同じ日本人をこのように呼ぶことはあってはならないと思っています。議論の方法としては、「お前の母ちゃん出べそ!」と同等のレベルですし、そうでなくても、日本人が日本人のことを否定する発言こそ、まさに「反日的」ではありませんか。うわべだけの罵り合いではなく、中身の議論をすればいいのです。汚い言葉を発することで、優越感にひたっている様子に、寂しさを感じ得ないと思ったまでです。

 ということで、本日も長々とお付き合いいただきありがとうございました。また、次回を期待せず、無駄にお待ちください。

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コメント

お疲れ様です。確かに中・韓両国の排日的言動には心が痛みますが、偏狭な愛国主義者にはなりたくないものです。「逆の歴史」には、同感です。中国・朝鮮半島・ロシアそして日本を地図の南北を逆さにしてみると、日本海が大きな湖か潟で、大陸とつながっているのが分かります。やはり受験のため長年歴史が明治維新前で終わっている弊害ですかね。
彰の介殿がんばりまっしょい。めざせ50位以内(いま赤丸急上昇中55位だったw)

投稿: makyabery | 2005/07/30 19:22

makyabery様、コメント、トラックバックありがとうございます。
ランキングの方もクリックしていただいているようで誠にありがとうございます。
 本日、NHKスペシャルで、のど自慢 in ソウルの舞台裏をやっていました。まだまだ日本と韓国の文化交流は厳しいものがありますが、少しずつ雪解けの気配がします。それをあえて邪魔する必要はないと思いますけどね。
 そんなことで、これからも清きクリックお願いします。

投稿: 彰の介 | 2005/07/30 23:56

彰の介様
どちらに偏るにせよ、過ぎることは良くないですよね。
彰の介様のご意見は理解できますし、ごもっとも!と思う部分もあるのですが、あえて反論させていただきます。

>架空の話ですが・・・、
の部分ですが、確かに今現在の日本人である私達には、受け入れられないものでしょう。
ただ、それと同等に日韓併合は語れないし、彰の介様の認識にも誤りがあると思われます。

・朝鮮語やハングルを禁止はしていない事。
むしろ、ハングルを広めたのは日本人でした。併合後、朝鮮語を必修科目としました。朝鮮語辞典を始めて作ったのは朝鮮総督府だし、朝鮮語の方言区分を体系化させたのも朝鮮総督府です。ただし、昭和13年に必修科目から外され、学校長の判断で朝鮮語の授業を行うかどうかは決められるようになりました。

・創氏改名は強制ではない事。
「朝鮮名では満州で中国人に差別される」との朝鮮人からの訴えに応えたものでした。韓国名で公職に就いていた方々もいます。

・韓国人も日韓併合を望んでいた事。
韓国最大の政治組織である一進会が併合を主張し、それにより文明開化を成そうと考えていたようです。もちろん、対立した保守派(朝鮮王室など)も存在しました。

朝鮮半島は日韓併合前、日本の江戸時代とは比べられないほど、本当にひどいありさまでした。日本人の私には、合併に賛成すること自体が理解できませんし、中国の属国として小中華思想に満足することなど、考えられません。
韓国併合を正当化するつもりはありませんが、当時の歴史を学べば学ぶほど、そうする他に、あの国とどうやって関係を持っていけたのか?と考えてしまいます。だからといって他国を併合して良いとは思いません。
私は道徳的には正しくはない、しかし出来る限りの努力はした。と理解しています。

>その下地があって初めて日本の善政部分、中韓のでっち上げの検証、つけ込み行為への反論ができるのではないでしょうか。
そうですね、相手が日本人であるならば私もそう思います。
国内的には、どちらにも偏らない歴史教育や認識が必要で、「自分の非は認め、善も教える」ことが当然であると思います。ただ、それが中・韓両国に通用するか?となると、考えてしまうのです。
たぶん私は、中・韓両国に不信と絶望を感じているのです。

投稿: chichi | 2005/08/02 01:52

>歴史の流れがちょっと狂って....韓国軍が日本に進軍し、列強を追い払い......韓国は白人支配から日本を開放したと主張した・・・。<

日本の植民地統治が決して圧制とは言えなかったという「正当史観」は傾聴に値します。

ところで上記のように日韓の立場が逆転していたらという問いかけですが、これについてはインドの例を参考にすれば良いと思います。

植民地にされたことはどこの国民にも良い思い出ではないでしょう。しかしながら、インドは大英帝国の遺産―インフラから社会、教育システムにいたるまで―をしっかりと引き継いで国を発展させてきました。朝鮮半島人が日本語に敵意を示すのに対し、インド人は自らの英語力の高さで世界各地に有能な人材を送り出してきました。

独立後も王冠の下の自治領ではなく共和国になりましたが、英連邦の重要な一員となっています。

そこで問いかけてみたいのです。インド人は大英帝国の支配に憎しみを抱き続けないのに、朝鮮半島人はなぜ日本支配をそこまで憎むのか?

これまでは日本ファシズムの圧政のためと思っていましたが、事実は異なるようです。

また朝鮮半島人に失礼を承知でききたいことがあります。インド人は古くからの歴史と高度な文明で非常に誇り高い国民ですが、それでもイギリス支配の歴史をしっかり受けとめています。日本支配を屈辱と叫ぶ朝鮮半島人には誇るべき歴史や文化はあったでしょうか?

もちろん、日本側にも一言つけくわえないとフェアではありません。どう正当化しようとも、日本の植民地支配は朝鮮半島人の恨みをかいました。インド人の恨みをかわなかったイギリス支配と比べて、統治の方法が稚拙であったことはしっかり反省すべきです。これだけは日本の言い訳のできぬところです。

投稿: 舎 亜歴 | 2005/08/02 09:29

chichi様、舎 亜歴様、コメントありがとうございます。 
 chichi様、私の認識不足の点ですが、正直言えば、韓国人が知ったところで韓国の歴史観を覆すほどのことではないと思います。特に日本人が言うと「言い訳にもならん」と言われて終わりのような気がします。chichi様は、日本が黙っているのではなく、積極的に中韓の非(日本の善)を明らかにしなければ、中韓には効き目がないとのお考えのようですが・・・、私だってそう思ってるんです(笑)。ですが、理想を言えば、中韓の非や日本の善は、ぜひ中国人韓国人から発してもらいたいものです。それが中国人韓国人には無理でも、日本人の我々はやろうじゃないですか。つまり日本の非と中韓の善(そんなものあるのか?)は我々日本人から発したいものです。その上で中国人韓国人にはできない自国の歴史を見つめることを、他国の我々がガツンと言ってやればいいのです。ある意味私は、自国の歴史が見つめられない中韓は極めて不幸だなあと考えているわけですが、そのあたりのネタは次回以降にさせてください。
 舎様ご指摘のインドの件ですが、白人国家たるイギリスに植民地化されたということと、有色の隣国日本に併合された朝鮮とは同格に語れないような気がします。その辺り不勉強で強くはいえないのですが、私の提唱する?逆人種差別の問題のような気もします。つまり韓国も、日本じゃなくて白人に植民地にされていれば、おそらく今のように文句は言わなかったであろうと思われます。たぶんですけど。日本もアメリカに負けたからあまり文句言ってない現実があります。まあ、本質からは離れる議論でした。
 また、ご意見ください。

投稿: 彰の介 | 2005/08/03 00:04

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