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2006/05/25

「靖国」

 昨年は、8月15日に向け、「歴史観シリーズ」を時々書いていたのですが、本年は靖国神社のことを書いていこうと考えています。もちろん、三日坊主協会会長の職にある私ですから、一回(三日?)で終わる可能性はいつもながらあるわけですが、まあ、いいか。所詮私ですから、勘弁してください。

 靖国神社については、以前、抽象的な「靖国の英霊」という記事を書いたことがあります。正直言えば、私の言いたいことはここに凝縮されているのですが、少しずつ紐解いていってみようと思います。今日は前書きです。靖国問題などといわれる、この日本国内で最もイデオロギー論の分かれるこの論議は、実際にはいろいろな種類の糸が絡まった複合的な議論のため、実にわかりにくくなってしまっています。しかし、わかりにくい割には、議論上は「右」か「左」か、あるいは「賛成」か「反対」かと言った、ある意味極めて明快な論議しかされないところに不思議なところがあります。

 例えば、靖国神社参拝について、小泉総理と小沢民主党代表に意見の違いはあるのでしょうか。
小沢代表は、小泉総理との対立軸を明確にするため、「靖国神社への総理参拝問題」について小泉総理とのスタンスの違いを明言しています。確か小沢代表は、「A級戦犯は、本来靖国神社に祀られるべきではない人たちです」といった主旨の発言をしています。要するに、靖国神社は戦死者を祀る施設であり、戦犯は刑死しているので戦死者ではないということでしょう。おそらく、中国が、靖国神社へのA級戦犯合祀を問題にしていますから、それに合わせた意見発信であると思われ、暗にA級戦犯の分祀をせまっているものだと考えられます。小泉総理は、A級戦犯の合祀に関して、「罪を憎んで人を憎まず」と発言していますから、合祀に問題はないと考えているのでしょう(当たり前か・・)。

 この二人の対立点は、「A級戦犯の取り扱い」という問題です。小沢代表の意見を、よ~く見直してみてください。この発言は、A級戦犯の扱い方だけを問題にしているのであって、A級戦犯の「」については言及していません。ましてや、仮にA級戦犯が分祀されれば、靖国神社参拝には問題ないとも解釈できますから、靖国神社そのものについて、またその参拝については、全く対立点にはなっていないのです。 
 このA級戦犯の取り扱いという問題は、靖国問題の中でも重要な論点ではあることは確かなのですが、「靖国神社を軍国主義の象徴である」とし、存在そのものが問題とと考え、分祀しようが合祀しようが関係ないと思っている「左」系の人から見れば、随分「右」に偏った議論であり、そういう意味で言えば、意見が対立しているとは言えないレベルなのかも知れません。つまり、参拝賛成だから「右」、反対だから「左」なんていう判断は、全くナンセンスなのです。政治的には「右の中の右」のような存在だった野中広務氏ですが、ことこの靖国問題に関しては「靖国神社は軍国主義の精神的支柱であった」として、考え方はまさに「左」そのものでした。つまり、「左」とか「右」とかが問題ではなく、あくまで、その人その人に、それぞれ許せる論点許せない論点があり、論点をはっきりさせないと、議論が実にややこしいのです。

 政治評論家の三宅久之氏などは、「総理が8月15日なんていうからいけない。”毎日”靖国神社に参拝すれば問題にならない」等と発言し、靖国問題に関して一見明らかに「右」よりです。、しかし一方で、A級戦犯については、無駄に戦争を引き伸ばしたとして、彼らの「罪」については大変厳しく追及しています。佐々淳行氏も同様に、靖国参拝を問題視していませんが、「生きて虜囚の辱めを受けずと発言した東条英機は問題である」とA級戦犯の代表格??である東条英機氏を批判しています。両氏ともに、靖国神社参拝に何の問題もないとする一方、A級戦犯のためだけに(A級戦犯に対して)参拝しているわけではないから賛成という立場なのです。

 しかし、同様にA級戦犯の罪を問題にしながら、「だからこそ参拝には反対」と言う立場の人もいるし、さらに「分祀しろ」と言う人もいるわけです。A級戦犯には罪はないと真逆の意見であっても、諸外国のことを考えて参拝反対とする人もいるし、分祀はすべきと言う人もいるのです。つまり、立場が違っても結論が同じ場合があるし、立場が同じでも結論が違うことがあるわけです。
 
 以前テレビで、コラムニストの勝谷氏が、「靖国神社参拝反対」と言った人にすかさず、「あなたは日本人としてあの東京裁判を認めるのか?」と発言していました。確かに、靖国神社参拝反対ということは、A級戦犯の罪を認めている人であり、したがって東京裁判を無条件で受け入れている人という考えができるかもしれません。しかし、上記のことを考えれば、このような勝谷氏の発言が実にナンセンスであることはわかってもらえるのではないでしょうか。東京裁判を認める人の中にも、靖国参拝賛成、反対両意見が混在していますし、認めない人の中にも、賛成反対それぞれの立場の人がいるのです。勝谷氏が「東京裁判を認めることができないから、靖国神社参拝に何の問題もない(???)」という意見かどうかわかりませんが(素直に解釈するとそういうことになりますが)、そう考えるのは勝谷氏であって、全ての人に当てはまる話ではないのです。型にはめて、右と左で議論するのが一番簡単なのかもしれないのですが、それぞれ、論点をはっきりさせた上で一つ一つ語っていかないと、ややこしくなると考えるのは、そういう意味なのです。

 というわけで、論点を決めて、私の意見を発信していこうと考えているのですが、これがまた論点と論点が複雑に絡み合っているという問題もあり、私の作業がどこまでできるのか、すぐ終わるのか、やめちゃうのか、できないのか、将来が実に不安になってきました。まあ、このエントリーだけでもいいか・・・。

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