コウノトリの郷と彰の介の愚
兵庫県豊岡市に県立コウノトリの郷公園があり、絶滅したコウノトリの人工飼育と、自然に復帰させる計画があり、一部公園生まれのコウノトリが放鳥されたようです。以前NHKでこの取り組みを放送していましたが、一応自然大好きの私としては、非常に興奮しています。コウノトリばかりでなく、佐渡のトキもいずれ放鳥される日が来るのかと思うと、待ちきれない思いでいっぱいです。
これら絶滅した鳥の自然復帰が、自然環境保護という観念からも、人間の生活を含めた生態系の正常化という面でも、人間にとって多くのメリットがあることは間違いありません。コウノトリの餌場確保のために、米つくりでは無農薬・有機農法(全てかどうかわかりませんが)が行われているようですし、そんなイメージのよさから、豊岡のお米は高く売れていると聞きます。豊岡だけでなく、全国にコウノトリやトキが飛び交うようになれば、開発ばかりが進行する日本列島に待ったがかけられる、いや、以前の美しい日本の風景が戻ってくるような期待もあります。
私が、豊岡の様子を放送していたNHKの番組で、非常に興奮した場面があります。それは、田んぼの水を抜いて、田んぼにいる魚を捕まえて餌場の状態を観察する場面だったのですが、それはもう大量のフナやドジョウ、モロコなどにあふれかえっていました。大量の魚が取れて、ピチピチと跳ね回っている様子に、私は子供の頃の魚とりを思い出し、大興奮し、あの魚たちを手づかみしたい欲求に駆られてしまいました。私はコウノトリの放鳥が、自然保護の観点からすばらしいことなんてことを、実は一番に考えているわけではなく(笑、二段落目の文章はなんだったのか?)、子供たちが(ついでに私も、笑)、魚とりに興奮できる環境が戻ってくることを非常に楽しみにしているのです。
私の田舎も、私が生まれた頃は360度”田んぼ”ばかりでしたが、30年以上たち、ほとんどの田んぼに建物が建ってしまいました。昔はたくさんいたカエルも、魚も、全くいなくなりました。梅雨の時期に、なまずが田んぼに産卵しに来たこともありましたし、小さな子供のなまずを捕まえて、育てたこともありました。今となっては、夢幻のような話です。
そんな私が、勝手に考えていることといえば、私のように田んぼの中であそんだこともない、魚とりなんてしたこともない人たちには、あの魚があふれている情景に、何の感情も湧き上がってこないのだろうなという非常に残念な思いです。しかし、そんな方々でも、自然保護という面や、無農薬、有機農法という言葉には、大いに関心があるでしょう。そんな経験のない、あるいは薄っぺらな感情の上にある自然保護ってなんだろう?という疑問が、わかりやすく言えば、東京ローカル人に代表される都会人による、上っ面の言葉だけの田舎の自然保護でいいのか?という疑問が、わいてきているということです。
といいつつ、私も上っ面の言葉や感情でものを語っている一人だといえます。私は、農業の経験が全くありません。田んぼの真ん中で子供時代を過ごしましたが、家が農家であったわけではないからです。例えば、大百姓の家から嫁いで来た私の母の、結婚の第一条件は、農業をしなくてもいい家だったといいます。それ位、農業とは過酷で、いやなものだったといいます。現在の農業が、機械化により昔ほど大変でないことは確かかもしれませんが、それにしても、その苦労を知らない私のようなものが、魚があふれる田んぼがどうのこうのと言って、より手間のかかる農法をわざわざやっている農家の方々気持ちを本当に理解できるのかどうかということは、大いに問題のあるところでしょう。
経験も知識もない、しかも当事者でない我々が、言葉(自然保護という言葉や無農薬という言葉)に踊って、コウノトリを飛ばそうなんて発言する場合には、より謙虚でなければならないという気がしてなりません。そんなことで、前回エントリー、里山の柿の木に無理やりつなげるわけですが、薄っぺらな知識や感情で、ものを語る愚を、報道の方々にも、そして我々も、注意しなければならないと考えるのです。ものを語ることを難しく考えすぎ??、かもしれませんし、私も自分で言う愚を、今後も犯し続けるのでしょうが(笑)、まあ一応「彰の介の証言」は謙虚にものを語っていきたいと思います。
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コメント
ご無沙汰しています。無農薬の田んぼではそんなにたくさんの魚がいるんですね。都会育ちなものでそう言った経験がないのですが。農家の方達のご苦労はあるにしても自然が回復すると良いですね。
投稿: アッテンボロー | 2007/01/18 13:18
アッテンボロー様、コメントありがとうございます。
自然の回復、コウノトリとトキには、非常に期待しています。ともに、人間の作った環境に適応しているわけですから、人間にとって決して悪いことではないと思いますね。
ところで、体調の方はいかがでしょうか。ややご病状悪化のような記事をお見受けしましたが。ちょっと心配ですが、今後のご活躍を期待しております。
投稿: 彰の介 | 2007/01/19 00:52