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2007/01/23

神様的マスコミと謙虚な心

 「あるある・納豆ダイエット事件」は、すでに多くの方々によって評論されています。世間的には、嘘の報道がされたことに愕然とする反応が多いようですが、ネット評論家の皆さんは、そもそもあの手の番組を信じる方がいけないと、騙された国民の側をたしなめる意見が多いように思います。そういった意見に私も賛成なのですが、一方、今回の番組を放送したテレビ局関係者に対しては、詐欺罪でとっつかまえる必要があると感じていますし、基本的には局そのものを廃業させるべきだと考えます(本気!)。インサイダーというか、口利きというか、国民を煽動し、だまして不当な利益を得つつ、一部企業に利益誘導した罪は、そんなに軽いものとは思えません。

 既存のマスコミに対する批判は、この「彰の介の証言」でも何度か繰り返しました。
 そもそも、大マスコミから放出される情報を、我々は知らず知らずのうちに神聖なものとして捉えがちです。莫大な情報の中から、国民にとって大事な情報だけが選りすぐられ、その信憑性はもちろんのこと、公平であることに関しても何の疑いも持たないところがあります。
 
 しかし、例えば交通事故にしても、年間何千人という人が亡くなっているにもかかわらず、ほんの一部の事故しか取り上げられません。それが、「神様」が重要だと思った事故を取り上げているならともかくも、実際には話題性の大きい事故が取り上げられることになるのでしょう。一部マスコミに取り上げられた事故の犯人はめちゃめちゃにこき下ろされることになるわけですが、一方、危険運転致死傷罪で起訴された?(正確じゃなくてすみません)人間が、昨年300人近くいたそうですから、それら多くの”ど悪い”ドライバーは、マスコミにお目こぼしをしていただいた事になります。事故で亡くなられた犠牲者の方々も、ワイドショーなどに取り上げられれば、その生い立ちから将来の夢まで持ち出して悲しさが過剰に演出されますが、これまた、7000人近いその他の事故で亡くなられた方は、何の夢もなかったから取り上げられなかったのでしょうか。

 私は、救急外来という場で働いていたこともあり、それはもうとんでもないドライバーによる、とんでもない死亡事故や、突然死亡した家族の痛すぎるほどの悲しみに遭遇したことが何度もあります。しかし、それら事故の多くは、翌日の新聞の地方欄か、三面の下の方に、小さく「○号線で、交通事故があり、2人が死亡1人が重軽傷を負う事故があった」ぐらいの記事にしかなりません。一方、死亡事故でなくても、「東名で30台玉突き事故」なんていうのは、一面記事を飾ることになるわけです。

 私が言いたいことは、次の2点です。「マスコミによる情報の取捨選択は、神様による選択ではなく、たまたまマスコミの事情で選択されたものであるということを、我々は知っていなければならない」ということと、「マスコミは、情報を取捨選択しているということに対して謙虚でなければならない」ということです。そして、「取捨選択」に限らず、「公平性」についても、「正確性、信憑性」についても、つまりは、報道の全てに対しても同様のことが言えると思うのです。
 ということで、これまた、前回記事(コウノトリの郷と彰の介の愚)、前々回記事(里山の柿の木)につなげるのですが、所詮マスコミも人間がやっていることであり、その人間の小さな知識や地域性と、経験を元に情報を提供するのですから、そういった報道に関わる人間の小ささというものに対して、常に「謙虚」でなければならないのが当然、というのが最近私の達した結論です。謙虚さの中から、「納豆2パック食べると痩せる」なんていう無責任な放送は決してできません。自分達が神様的な立場であると信じて疑っていないからこそ、ああいう報道ができるに違いありません。
 
 まあ、そんなことで、「そういうお前は謙虚なのか?」と突っ込まれそうですが、う~ん、わかりません。大マスコミを見下したこういう記事は、謙虚さを忘れている記事??かもしれません。そのあたりは皆様のご判断にお任せしつつ、私は常に謙虚でいたいと考えている次第です(?)。

 追記:[ゴーログ] 「発掘!あるある大辞典2」問題で語られていないことに、ちょっと無理やりおそだしトラックバックさせていただきました。

 追記:海外からの変なトラックバックがやたらと来るため、この記事のトラックバックは無期限に受け付けない設定としました(07/2/8)。

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コメント

♪こんにちは。
言いたいことは全て彰の介さんが書いてくれたので、私がエントリーする必要がなくなりました、笑。
今回の事件は、意識的に一次データを捏造しているという点で極めて悪質といわざるを得ません。
他業種の事であれば「意図していないうっかりミス」であっても鬼の首を取ったかのようにバッシングするマスコミですが、同業種の場合は、今回のような確信犯であっても「納豆自体は健康にいい」だとか、「忙しさからつい魔が差したのでしょう」などの擁護論も見受けられます。
しかし、消費者の信頼を裏切ったという点では、彼らが厳しく批判している不二家となんら変わりがありませんので、関西テレビに対しても同じ論調で厳しく追及してほしいものです。

投稿: あざらしサラダ | 2007/01/28 08:26

 あざらし様、コメントありがとうございます。
言いたいことを私が書いたなんてまた・・・、あざらしさんの切り口にはかないませんから、勘弁してください(笑)。
 それにしても、不二家と「あるある」と何が違うかといわれると、何も違わないような気がしますね。大手マスコミも、そろそろ、いい加減な情報操作が通用しなくなっていることに気付いてもらいたいものです。通用しなくなったのを、ネット批判でごまかすというのも、やめないといけないでしょうね。
 そんなことで、またご批判ください。それでは。

投稿: 彰の介 | 2007/01/28 22:34

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