テレビに出る医者は名医か?
私は職業柄やぶ医者をやっていますが、患者さんからとんでもない話を聞きました。具体的なことはもちろん話せませんが、テレビに出ている医者の中にはかなり胡散臭いやからが混ざっているという話です。
私のところにある「A」という病気で通っている患者さんがいるのですが、その患者さん、テレビ番組でその「A」という病気についての特集を見て、その番組に出ていた2人のドクター(もちろん「A」という疾患の専門家)のところへ私に黙って診察してもらいに行ったようです。まあ、一応私も、その「A」という疾患の専門医なわけですが(笑)、有名な先生に意見を求めたいと思うのは患者として当然であって、私は基本的にそういった患者さんの行為には寛容です。正式にはちゃんと紹介状を持っていってもらい、意見を聞いてほしいものですが(セカンド・オピニオン)、私の外来へ帰ってきていただいたところを見ると、私の診療も捨てたものではない?ようです(大笑)。
ところで本題ですが、そのテレビに出ていた専門家の一人は某大学病院の先生だったようで、当然診断は「A」、治療についてどう言われたかは聞きませんでしたが、私のところで引き続き診療するということになったようです。
ところが、問題はもう一人の医師の方です。テレビに出ていた専門家という話ですが、なんと診断が「A」ではないと断言したようです。「A」という疾患に関する検査データが陽性であるにもかかわらずそれは全く無視して、一部のどうでもいいデータの異常を指し示して「こちらが原因だ」と言ったようで、さらにたちが悪いのは、「今の治療は強すぎる」、「対症療法とサプリメントで治療を」などと説明したようです。
その患者さんは、そのドクターにそんなことを言われてしまったため、「先生には申し訳ないとは思うけど、それら医師に診察をしてもらった」ということを私に打ち明けたうえで、「テレビに出ていた専門家の先生に「A」じゃないと言われて困ってしまって・・・、どうしたらいいんでしょうか」とそれは困った様子で私に語り掛かけてきました。正直、勝手なことをして勝手に困られても、こちらの方が困るのですが、残念ながら常識的に言って「A」という診断はどうにも間違いようがなく、はっきり言ってそのドクターの対応には怒りがこみ上げてきました。
具体的なデータの話ができないので、どちらが正しい間違っているという検証をこの場ではできないのですが、仮にその患者さんが「A」という病気でないとしても、そのドクターが「○○病」という別の診断名を下さなかったこと、また、「A」ではないという論拠を述べなかったところは私としては納得いきません。また、原因としたデータ異常は、あまりにも幼稚で素人的な指摘であって、よくもまあそんな話を患者にするものだと本気であきれました。
とここまで書いても、(具体的な話ができないので)テレビに出ていた先生の方が、やぶの彰の介より正しいのではないかと思われる方も多いかもしれません。が、一応、私のやぶ医者生命をかけて、そのテレビに出ていたというドクターは、とんでもない「やぶ医者」だと断言しておきます。それにしても、どうしてテレビでそういう”やぶ系”の医者が、専門家として、あるいは名医として取り上げられるのかわかりません。本物の名医もいるのでしょうが、この患者さんのようなことが起きることを考えると、何を根拠にテレビに呼ばれたのか理解に苦しみます。そのあたりテレビ局の責任は重大で、いわゆる第二の「あるある」的問題が起きても、全くおかしくないでしょう。
運良くその患者さんは私の外来へ帰ってきてくれましたが、「テレビに出ている専門家」ということを理由にその先生の方を信じたとしたら、おそらくボロボロになっていたと思われます。私も完璧な名医とは言いません。どちらかと言えば、迷医?かも知れませんが(笑)、皆様におかれましては、くれぐれも怪しげな「名医」に騙されないようお気をつけ下さい。
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コメント
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投稿: magazinn55 | 2007/08/16 08:11
お久しぶりです。
記録的な職場の暑さ(冷房中でも30℃越え)に、少々夏ばて気味ですが、何とか生きています。冷房病などにはお気をつけくださいって、こいつは、「釈迦に説法」でしたね。
人には感染しませんが、馬インフルエンザ発生に、今後の競馬(地方も含めて)が、どうなるのかが心配です。
投稿: でめ | 2007/08/17 06:24
でめ様お久しぶりです。
いやー、暑いですね。馬も暑さで参っているのでしょうが、さらにインフルエンザですか。伝染病というとドキッとしますね。多くの馬に広がらないことを祈るばかりですね。
投稿: 彰の介 | 2007/08/17 23:04
馬インフルエンザ、拡大傾向です。JRAは、損出を嫌って、発表を先延ばしにした疑惑もなきにしもあらずなのですが、南関東は、急な決定でもあったのですけども、今日の大井開催を中止しました。
何でも、感染の疑われるお馬さんがいたらしいのです。(ちなみに、本日出走の予定はなかった)この決定は、JRAとは全く危機意識が違っていることを、明確に示していると思います。売り上げ優先ではなく、安全かつ公正なレースをしてこそですから。
投稿: でめ | 2007/08/18 16:21
でめ様、コメントありがとうございます。
実は、JRAが週末の競馬開催を決定していたので、急に中止になったのを随分後になって知りました。
とにかく家畜類の伝染病はやばいわけですから、この対応の悪さはかなり問題があったと思います。
投稿: 彰の介 | 2007/08/18 23:54