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2008/02/05

コレラと毒餃子と役人の能力

 毒餃子。世間はその話題で沸騰しています。
 本当は一ヶ月も前に、毒餃子が蔓延しているかもしれないということがわかっていたようですが、情報がお役所の方に上がっていなかったようです。それで、厚生労働省というか、舛添大臣が情報をあげることの徹底を指示したようですが、まあ、ことはそんなに簡単なことかどうか、ちょっと疑問を感じています。

 情報を、お役所に報告するということに関し、私の経験を2つほど。
 一つは典型的な食中毒。これは、団体で旅館に泊まっていた集団に、下痢嘔吐が大発生して病院に次から次へと運ばれたという例です。たまたま当直だった私のところに、ざっと30名ほど運ばれ、とんでもない忙しさになってしまったわけですが、これは明らかに食中毒が疑われるということで、翌日保健所に連絡しました。

 もう一つは、食中毒ではなく伝染病がらみのもので、はっきり言ってしまうと、コレラってやつです。下痢を主訴に病院を訪れた患者ですが、私は便の培養をとり、点滴をし、整腸剤等を処方して帰宅としました。しかし、二日後(だったと思います)に培養からコレラと判明してしまったのです。

 さ~て、街にコレラが出たということで、その地方の議員さんから、病院へ怒りの詰問状が届きました。「どうして、コレラの患者を、隔離せずに家へ帰したのか!」っていうんですね。まあ、確かに帰してしまったわけですが、それには理由があります。まず、症状的に重症ではなく、十分外来通院で対応できる状態だったこと、そして、コレラだという特有の症状は何もなかったこと(下痢だけ)、そして何よりも、便培養をして、それがコレラだと当日にはわからないということです。

 便培養というのは、培地と呼ばれるものに便をくっつけて、生えてくる菌を調べるものですが、それが生えてくるのに一日、さらにそれがコレラであると判定するのに、一日かかります(細かいこと忘れましたが、もう一日必要だったかもしれません)。したがって、「下痢」というだけでコレラ疑いとしていたら、毎日毎日10人も20人も隔離しなければならなくなってしまうわけです。

 コレラと判明したからには、伝染病予防法にのっとって対応しましたが、それまでの対応に不備はなかったと確信しております。たぶん。
 しかし、コレラが出たというだけで、行政も、議員さんも浮き足だって、さて誰が悪い、病院が悪い、なんで隔離しなかったんだという話になってしまうんですから、大変です。ちなみに、ご家族から病院に、容態はどうかの確認の電話がありました。そのときわかったことなのですが、患者さんが隔離されているだけでなく、実は(おそらく行政処置として感染の確認が済むまで?)家族も家から一歩も出られない軟禁状態だったようです。つまり、伝染病予防法の発動は、それ自体、大きな社会的責任を伴うものであり、ろくに知識もない、浮き足だった議員がごたごた言ってるレベルの問題ではないのです。

 たとえば、今回の毒餃子でいえば、確かに最初の患者が餃子を食べて臭かったなど、怪しいことを訴えていたとのことですが、さてそれだけで毒餃子と判断できていたのでしょうか。むろん、その機会を逃したことは、後になってみれば明らかですが、その現場の担当が私だったら、いちいち届け出ていたかどうか・・・。正直、今年の冬は下痢嘔吐が非常にはやっており、「餃子を食べたら」という言葉を重く受け取らないかもしれません。

 さらに、仮にここで毒餃子ということが判明していたとして、厚生労働省に全国規模の中毒問題をちゃんと情報を収集し、分析する能力があったのでしょうか。また、最大の問題は、安易な情報の開示は、「風評被害」になる可能性もあるわけで、その責任を、いや、そのリスクを役人がかぶる勇気があるのでしょうか。その勇気がなければ、結局情報があげられたとしても、「そんなの関係ねー」で終わりかもしれません。

 結果がわかってしまえば、それがコレラだと、それが毒餃子だとわかってしまえば、あとから鬼の首を取ったように、何やってるんだ的な文句も言えるわけですが、現実にはリアルタイムで進行する結果のわからないことに対し、早急に対応が必要なことが多いのではないでしょうか。
 上にも書いたように、今度は安易な情報開示による、風評被害が起きないことを祈るばかりです。

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