アテにならない病院ランキング
私は、職業柄やぶ医者をやっている関係で、書店に並んでいる「病院ランキング」や「名医紹介」のたぐいの書籍を見つけると、一通り目を通す癖がついています。むろん、若輩の私がそんな書籍で紹介されるわけもないわけですが、特に自分が専門としている分野のランキングや、勤めている病院、出身の大学病院の評価などは気になるものです。しかし、この病院ランキングほどアテにならないものも無いのです。
あまり個人情報的なことは、書くべきでないと思いつつ、書いてしましますが、昨年後半から、私の身辺にいろいろなことが起きたということを、前回の幸福の木の花で書きました。その最大の出来事が、父の死でした。私の父は、肝臓が悪く、肝硬変、肝臓癌となり、体力が衰えたとが原因となり、別の病気で亡くなったのですが、この肝臓の治療を、まあ、その地方ではかなり肝ガンの症例をこなしている先生に診てもらっていたのです。
しかし、その別の病気にかかり、別の医療機関で治療することになったとき、改めて肝臓の評価をしてもらったのですが、その父のかかりつけの先生が「肝臓癌はよく診ていてくれたが、肝臓そのものはあまり診てくれていなかった」ということに気づきました。肝臓癌の兆候はないか、再発していないかということは非常に慎重に検査をしてくれていましたが、肝臓そのものの機能の衰えに対する評価が全く甘く、ほぼ無治療だったのです。
我々医者の世界は、専門分化が進み、よく言えばスペシャリストといえますが、悪く言えば専門バカがたくさん存在しています。そんな状況で、「お腹は診ていたが、肺は診ていなかった」とか、「心臓は診ていたが、糖尿病は診ていなかった」といった、科を越えた専門バカ的問題が残念ながら存在するわけですが(私を含めて)、肝臓の専門家の中で、肝臓癌だけ診ていて、肝臓の評価が甘いなんて普通あり得ない話です。炊き込みご飯は上手に炊けるが、基本の白ご飯が炊けないみたいな話で、後からびっくりしてしまったという話です。
しかし、先日、とある病院ランキング本をみていると、そんな先生がしっかり載っていたりするわけです。まあ、その道で、数はこなし、論文を書いて、評価されるべき先生であるということは間違いありませんが・・・。まあ、極めて複雑な心境です。というか、ランキング本そのものの性質が、そういった評価しかできないわけですから、やむを得ないと言えましょうか。
その他にも、(半分内部告発になりますが)、全く臨床のできない先生が、ランキングに入っていたこともあります。その本は、患者さんがランキングに参加するといった内容のものでしたが、要するに、外来での患者さんに対する対応は非常にいいのでしょう。その点は否定しませんが、うむむむ・・・。これ以上お話しできません・・・。
私がこの世界で出会った、もっとも腹が立つ医者も、とあるランキングに載っていました(怒)。その医者の性格の悪さといったら無く、その医師の周りで働く若手医師が2人も3人も、去っていきましたし、私も被害を被ったので、さっさとその病院を出て行ったのですが、そんな医師も患者さんにとってはいい人なのでしょうか。まあ、これは単なる私の個人的恨みの話ですが(笑)、そんなことはもちろんランキングには影響しないわけですから、怒ってもしょうがないか・・・。
まあ、ランキング本が、一つの指標、目安として使われるならいいとは思いますが、過信や絶対視は全くできないと言う話です。どちらかといえば、「医師がこっそり教える、あの医者にはかかるな!ランキング」の方が、えげつない医師の裏側が垣間見えて、おもしろいと思いますが・・・。
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