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2008/12/26

派遣会社の存在意義

 昨今、「派遣切り」なる言葉がちまたにあふれ、その悲惨さが報道されています。
ただ、感情論を捨ててしまえば、あくまで納得の「契約」だったはずで、法的問題がないのであれば、仕方ない??としか言いようがありません。しかし、よくよく考えてみると、今悪者扱いされている、トヨタやらの大企業の派遣切りが、問題の本質なのでしょうか?。何となく釈然としないものを感じるのですが・・・。

 釈然としないもの、それは、派遣会社の存在です。どうも、この派遣社員、派遣会社、派遣先企業の関係がよくわからないのです。まあ、麻生総理の言うところの、バカであほでたわけのやぶ医者の私のことですので(そんなこと言ってない?)、世間の常識がわからないだけかもしれませんが。そもそも医者というのは名医、やぶにかかわらず経済音痴ですので、どなたか易しく解説いただけると助かります。

 派遣社員、派遣会社、派遣先企業の関係なのですが、派遣社員は、派遣会社経由で派遣先企業に勤めるわけですよね。給料は、派遣先企業から派遣会社に支払われ、派遣会社経由で派遣社員に支払われるわけですよね。
 と言うことは、派遣社員は、派遣会社に所属しているのですから、派遣先からもう仕事に来なくていいと言われた場合、派遣社員の失業などの責任を負うのは、「派遣先企業」ではなく、「派遣会社」ではありませんか??。コレ違います??。

 つまり、派遣会社が、次の仕事が見つかるまでの期間の保証をしなければ、何のための派遣会社かわかりません。おそらく、派遣会社は、派遣先からの給料のうち、相当額をいわゆる「ピンハネ」していることは想像に難くないわけで、派遣社員が失業したときのリスクなしと言うのであれば、ただのピンハネのための「ピンハネ企業」ではありませんか?。

 ただのピンハネ企業というわけではないと言うのであれば、派遣社員の面倒をもっとしっかり見るべきでしょう。もし、ただのピンハネ企業であれば、そんなもの廃止してもいいのではありませんか。というか、こんなピンハネを認めるのであれば、トヨタならトヨタが派遣会社みたいな形態で直接雇用すれば、ピンハネ分、派遣社員にも給料でもっと還元できるのではありませんか?。解雇時保証金とかでもいいですけど。う~ん、違いますかね??。

 私にはわかりませんが、派遣社員にとって、この制度のどこかにメリットがあるのでしょうか?。大企業にとって社員を切りやすいというメリットはありそうですから、それを正当化するための、回りくどい、結局のところリスクを負うのは派遣社員だけという制度が作り上げられたような気がしてなりません。メリットについてどなたか教えていただければ幸いです。

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コメント

はじめまして。
先生は北海道のお医者様なのでしょうか。
私は札幌近郊に住む会社員です。

さて本題ですが、アウトソーシングのメリットは自社で雇用するのと違い、採用コストや社会保険、教育コストなどが発生しないことです。
例えば時給1000円に相当する仕事を1400円で取引するとします。自社で採用するとコストはそれ以上の1700円~2000円くらいになり、本人がこれを上回る利益を出してくれるまで何年もかかることを考えれば、このビジネスは成立し派遣会社を”挟む”意義は一応あるわけです。ないとしたら派遣社員本人が自らの労務管理と教育(?)福利厚生まで全て自前で取引できる、いわゆる個人事業主になる場合です。こういう人が「自分でやるから今の派遣元ではなく自分と契約してくれ」と派遣先に申し出れば、派遣先から1200円/hrくらいでやるといえば簡単に契約できるでしょうね。しかしスキルがあったとしても、実際には働きながら自分という従業員の管理をすることはほぼ不可能です。
よってピンはねという表現はよほどのスーパーマンが派遣社員でない限り適切ではありません。
しかし、この事業は誰にでも簡単に起こせます。人を見つけて派遣先に投入すれば、後は勝手に利益を出すわけですから。こうして90年代後半から続々と派遣会社が出現し、その競争も激化していきました。当然価格競争も激化し、1400円での取引では競合に勝てず、1200円、1100円とディスカウントします。この競争の中で派遣会社が利益を確保するには、ほとんど唯一のコストである派遣社員の給与を削減するほかなく、その結果、非正規労働者はどんどん貧乏になっていくというわけです。
更にいらなくなったらいつでも切れるという契約社員ならではの最大のメリットがあります。雇いすぎに懲りている企業経営者は、こういう派遣会社を使い、いざというときの保険としてきたため、現在の金融危機でこの保険を一気に使ったことで、今の社会現象になったわけです。
一方、こんな奴隷的な使われ方をする派遣社員にメリットなど皆無と思えますが、実は人それぞれです。履歴書に何も書けないようなハナタレには願ってもない制度です。しかし元々キャリアがあった人たちが求人がなくこれしか就業できないとすれば、これはまさしく悪夢です。派遣はどんなに頑張っても基本的に給与はアップしませんからね。そして不況になれば切られる。これでは奴隷です。
この派遣という悪魔の事業はこの世から失くすべきだと私も常々思っています。
しかし、これだけ派遣が企業に浸透した現在ではもはや全員を正規雇用することは不可能です。
そこで派遣を請負化することで、問題は解決します。
派遣は時間によって決まりますが、請負は出来高で決まるからです。
これが何を意味するかは長くなるので、この辺にしておきますが、
平等な派遣に対し、請負は公平な評価ができるということです。
政府は無茶な正規雇用にばかり気をとられていますが、この請負にもっと力を注ぐべきだと私は思いますね。

駄文失礼しました。

投稿: snake | 2008/12/28 01:50

snake様、コメントありがとうございます。
細かな説明ありがとうございました。ちなみに私は静岡県某所で働いております。

 snake様のコメントですが、派遣先企業のメリット、派遣社員のメリットデメリットはよくわかりました。ところで、最大の疑問点である、派遣会社のリスクという点はいかがでしょうか。特に、単純労働者の場合、派遣会社は教育の必要性もなく(コストなし)、派遣先が派遣切りをしても、そのまま「さようなら」であれば、何のリスクもないように思うのですが。派遣会社が雇っているのであれば、ものすごいリスクでピンハネも容認しますが、リスク無しのピンハネはやっぱりおかしくないでしょうか?。

投稿: 彰の介 | 2008/12/28 16:27

静岡でしたか。昭和新山がトップにあったのでもしかして北海道かなと思いました。

派遣会社のリスクですが、先生がおかしいとおっしゃるのは法的にですか?それとも社会通念上の問題でしょうか?

通常の景気状態での派遣切りですと、たいがい他の派遣先で就業できます。
それが現在のような恐慌状態での派遣切りですと、そのまま解雇されます。
派遣には学歴も職歴も関係ありません。高卒でも大学院卒でも派遣に応募すれば、同じ支給額です。業務上の必要条件さえ満たしていれば雇用されるという手軽さの代償として、ひとつでも欠ければ即解雇されるというリスクがあります。そしてそのリスクも含めて契約されます。日銭が必要な求職者は納得できないそのリスクも理解だけはさせられ就業します。
派遣社員を打ち切られた派遣会社は売上は落ちても、解雇することで利益率の変動は最小限に抑えることができるので、会社が余剰人員を抱えるリスクは派遣先と同様ありません。
現段階では非合法でないので、行政はどうすることもできないでしょう。

これは私見ですが、派遣業界も医療もある意味似たようなものと思います。
派遣会社が上場していようがいまいが派遣社員には関係ないのと同じように、自分の執刀医がティーテルを取得していようといまいと患者には関係ありません。
派遣社員として契約書にサインする人の顔も、オペの同意書にサインする患者さんの顔も同じです。それは”否応なく従うしかない人たち”の顔です。

投稿: snake | 2008/12/28 23:27

 snake様、コメントありがとうございます。
 年末年始でコメントできませんでした。
 いろいろと、それぞれの立場で、メリットデメリットありそうですね。逆に、結局のところ派遣会社に痛手はなさそうですから、現法に問題有りというのが、私の結論です。
 

投稿: 彰の介 | 2009/01/05 00:05

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