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2009/03/05

医師による医師批判

 先日、NHKの番組で、「うつ病」治療の問題が特集されていました。すべてを見たわけではありませんが、その番組の画期的な点といえば、いい加減なメンタルクリニック系の開業医らの批判を堂々と番組の中で展開していた点です。しかも、患者側の視点から見た批判だけではなく、うつ病学会の医師も出演し、「こういう処方をする医師はおかしい」と指針まで解説していました。

 以前から、患者側からの医師批判や、マスコミによる医師・医療批判というのはままあるわけですが、医師による医師批判というのはあまり見たことがありません。
 例えば、「救急医療における患者受け入れ拒否」の問題においては、医師は基本的に現状の医療現場がいかに厳しいものかを情報発信し、医師の怠慢についての情報発信は皆無だったと思います。そういう批判は、私のようにネットの片隅で一人ごちるくらいのもので(救急外来の裏側救急外来の裏側2)、公になることはほとんどありません。素人の方の医療批判が、「現場を知らない!」とこっぴどく本物の医師軍団にと叩きのめされているネットの記事などを見るたびに、「現場を知っているとそうでもないことも多々あるけど・・」と感じていたやぶ医者彰の介でございます。

 医師による医師批判が基本的にされないのは、同業者同士のなれ合いそのものなわけですが、実は、我々医師というのは、学生時代から「他の医師の批判はすべきでない」と洗脳教育を受けています。批判が自分に降りかかってこないようにということなのでしょうが、いまさらながら考えてみれば、実におかしな話です。

 ただ、ものには程度というのもがあり、批判するといっても、まあなれ合いでもみ消してもいいかな(笑)と思える程度のものから、看過できないものまでいろいろあるわけで、看過できないものまでなれ合いでごまかす必要はないでしょう。いや、すべきではないでしょう。
 また、医師対マスコミみたいな構図で、ただの派閥争いのための論争をするくらいなら、むしろ身内を裏切ってでも真実を述べるべきではないかと私は考えます。
 
 そういう意味で、今回のうつ病学会による「だめ医師批判」は実に画期的であったと評価します。私は引き続き、影でこそこそと、医療の裏側を語ろうと思っています。そこに意味があるのかないのか、墓穴を掘るだけなのかどうかは・・・わかりませんが・・・。

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