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2009/04/23

臓器移植法改正の是非

 臓器移植法改正の議論が国会でされているようです。
 ただ、聞こえてくる議論は、昨今このブログで言うところの派閥争い的議論が多く、各論の投げ合いのような気がしてなりません。そこで、総論的な私の意見をここに書きたいと思います。

 主に議論になっているのが次の2点だと思われます。
 

1.本人の意思が確認できない場合、家族の同意があれば臓器移植できるかどうか。
2.小児の場合、家族の同意があれば臓器移植できるかどうか。

 簡単にいうとこういう感じでしょうか。
 
 私の考えの根本は、本人の意思を最優先すべきということです。次に家族の意思でしょうか。したがって、大原則として、本人が「臓器移植拒否」の意思をドナーカードなどで明示している場合は、家族がなんと言おうが当然のことながら移植できないと考えます。
 
 本人が臓器移植可の意思表示をしている場合は、家族の意思を尊重すべきでしょう。家族が同意すれば移植へ、反対すれば移植はしないということでいいと思われます。

 問題は、本人の意思がわからない場合ですが、これは本人の移植に対する考えを表示する権利の放棄であると考えます。基本的にドナーカードを携帯するべきと考えますが、それとともに、常に家族に意思を明確に話しておくことも重要であると思います。したがって、意思表示がない場合は、家族の考えで移植に同意するかしないかを判断すればいいと思います。本来、移植されるのがいやなら、生前にはっきりいやだと明示しておくべきです。

 脳死を一律人の死とする案が出ているようですが、これについては私は異論があります。やはり旧来どおり、移植を前提にした脳死は死としていいと思われますが、本人あるいは家族が移植を望まなかった場合、それは死を意味しないような気がします。脳死の状態が死か生かは、それぞれ個人家族の死生観によると考えるからです。移植されてもよいと意思表示されている方は、脳死=死という死生観であり、移植拒否の方の多くは、脳死は死ではないという死生観をお持ちでしょう。このあたり日本人の死生観として統一できてはいないと思われます。

 問題は、小児の場合、特に幼少で意思表示はできるわけがない時期はどうするかですが、私は、個人的意見として、現在の禁止から一歩踏み出し、小児の場合は親が移植の可否を判断し、日本の小児臓器移植の道を開けるべきと考えています。

 現在、移植という手段がある以上、どんな手段を使ってでも自分の子供の命を助けたいとおもう親心を否定することは無理であると考えます。それが、昨今の海外移植につながっていることは言うまでもありません。その海外移植が今後できなくなるのであれば、日本の医療技術をもってすれば助かる方法があるのにもかかわらず座して死を待つしかありません。したがって、私は小児領域の移植の手段を閉じるべきではないと考えています。

 「自分の子が脳死になったら臓器提供できるのか!!」的な反論をされる方がありますが、これはまったく間違った反論だと感じます。子供が脳死になったら全員臓器移植を強制されるわけではありません。したがって、親の死生観に基づき、これを死と受け止められなければ、はっきりと、移植拒否を明示すればいいのです。多分、私がその立場になれば、(その場にならなければわかりませんが)、想像するに限りなく100%に近い確率で「移植拒否」をすると思います。それでいいではありませんか。臓器移植に賛成しながらおかしいですか。いや、臓器移植に賛成なら、自分の子供の臓器を提供しろという考えこそ大問題だと考えます。
 さらにいえば、自分の子供の臓器を取り出せば別の子供が助かるなどということを考える必要はまったくありません。

 小児の場合、脳死判定に疑問があるなどの事例が出され、脳死移植に反対の意見があるようですが、これも同様に、疑念のある方は、はっきりと移植拒否をされればいいのではないかと思います。お互いの死生観をぶつけあって議論するのではなく、それぞれの死生観を尊重するということではだめでしょうか。

 最もあってはならないのは、先ほども書いた、「移植に賛成すれば別の命が助かるのに・・」的な雰囲気であり、さらに、医師が医師の死生観に基づき、患者家族に移植を求めたり、拒否するよう仕向けたりすることではないでしょうか。医師による興味本位、病院の宣伝のための誘導はもってのはかであるのは言うまでもありません。

 ということで、賛否両論あるかとは思いますが、私の考えを書かせていただきました。上記の通り、私は基本的に現行法よりも一歩進んだ移植法を考えていますが、しかし、移植が強制ではないということを、自分の意思が重要であるということを重ねて強調させてください。上記で、説明不足、あるいは誤解を招く表現があるかもしれませんので、ご指摘受ければ場合により訂正させてください。

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