パクリは文化?
先日、「学べる!!ニュースショー」なる番組で、「中国ってこんな国」なる内容の放送がされていました。
中国といえば、著作権なる概念はなく、パクリ王国の印象がありますが、そこのところを、ジャーナリストの池上彰氏がうまく解説していました。まあ、うまく解説されても、中国のパクリ王国の地位が揺らぐものではありませんが・・・。
中国のパクリ体質のひどさに関する質問に対して池上氏は、
「歴史的に、経済が次第次第に豊かになってきて、「「自分の国で作ったものを他の国にまねをされると困るよね」」と言う状態になって、初めて、そういう著作権の意識って生まれるんですよ。日本もあまりえらそうなことは言えなくて、昔は、他の国で作ったものをそっくり物まねをして、輸出していたという時代がありました。」
と解説していました。中国はまだ発展途上ということで、別に中国の擁護発言ではありません。著作権やオリジナルに対する思いというものが、どのような過程で生まれてくるのかをうまく解説されたなあと感じました。中国も自国発の確固たる製品を作り上げ、思いっきり真似されれば、著作権をうるさく言いはじめるのでしょう。まあ、過去の自分たちの姿を反省するかどうかはわかりませんが・・・。
と言って、日本ではすでに「パクリ文化」や「便乗文化」なるものが絶滅したかと言えば、決してそんなことはないと思われます。
その昔、アサヒスーパードライが人気を博したときは、巷に「ドライ○○」というわけのわからない商品があふれました。スーパードライつながりでビールのことを言えば、缶の包装、ネーミングなど、「パクリ商品」が山のようにあります。電化製品など、以前「ファジイ」「マイナスイオン」なるキーワードで、同じような商品が店頭に並び、現在「エコ」なる非エコ商品?が多数売られています。アップルのiMac?でしたか、そっくりのコンピューターを売り出したメーカーもありました。便乗と言う意味では、昨今の「産地偽装」も同じ類でしょう。「まねをすれば売れる」が、「国産と書けば売れる」に変わっただけですから。
私は、オリジナル商品を生み出そうとせず、パクったり、便乗したりして、「楽して儲けよう」という考え方は好きにはなれません。しかし、一般に世間では、あからさまな「パクリ」はまずいとしながらも、あれが売れるならうちもちょっとまねして・・・的な考えは、少なからず許されてきたような気もします。それはパクリではなく、競争の中でやむを得ずという部分もあったかもしれません。
先日、そんな「パクリ文化」の偉大さに気づいたのが、各地方にある「ご当地グルメ」です。歴史的に名物料理というのは、その土地でしか取れないもの、その土地でよく取れるものがベースになっているとは思いますが、それだけではありません。
例えば、現在「名古屋めし」の一つとされている「あんかけスパゲッティ」は、あんかけの具や、パスタが名古屋名産というわけではありません。おそらく、どこかのお店でこの「あんかけスパゲティ」が考案され(とある資料ではヨコイということになっていましたが)、多くの店がパクったに違いありません。そのように、どこかで「元祖」のオリジナル商品が作られ、その地方の店が徐々にパクることで「ご当地グルメ」が誕生したのではないかと考えたりするわけです。
昨今、地方の戦略として「ご当地グルメ」を創出する動きもあるようですが、いわゆる昔からあるB級グルメ的なものには、「パクリ文化」は必要不可欠だったに違いありません。「あの店であんなのが売れているからうちでも出そう」ってな感じでしょう。
これはいいことなのでしょうか、悪いことなのでしょうか?。私は上で書いたとおり、基本的にオリジナルを作り出さず、パクって儲けようとする考え方はあまり好きにはなりません。現在の著作権や特許的な考え方からすれば、「元祖」の利益が確保されなかったと言うことになるでしょう。
ただ、例えば「あんかけスパ」であれば、ある一軒の店に行かなくても多くの店で食べられるという客としてのメリットがあります。また、逆にやっぱり「ヨコイのソースしかいや」的な元祖帰りも見られます。あんかけスパと言えども、まずいものはまずいわけで、パクリと言えども手抜きは許されないわけです。そういう意味で、広まったあとにオリジナルが際立つという現象もおきてきて、それはそれでいいことのようにも感じられます。
そんなことを考えると、パクリ文化もまんざらではない?かもしれず、パクリ文化の良し悪しに関する結論は今のところ出せません。ある意味、世間においしいものや便利なものが広がると考えれば、著作権だ特許だなんて考えはちっぽけな考え方かもしれません。
最終的には、「職人のうでこそ特許」であって、「まねできるものならまねしてみろ!」というのが、健全な姿のような気がしてきました。
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