« 2011年10月 | トップページ | 2012年1月 »

2011/11/24

命めぐる水辺 針江生水の郷(3)・・・琵琶湖を世界遺産に!

 少し間が空いてしまいました。遅くなりましたが、琵琶湖一周の旅を逆に辿るシリーズの第6弾、湧き水のあふれる里山、高島市針江地区の見学に行ったお話の続きです。今回は琵琶湖を中心とした自然復帰プロジェクトについても見学を通して教えていただきましたのでご紹介します。

 下の写真は、待ちにかかげてあった「高島市うおじまプロジェクト」と呼ばれる琵琶湖の環境を取り戻す活動のアピール看板です。

Dsc01870

 とにかく水がきれいで豊富な場所ですから、こういう取り組みにとって最適な場所であることは間違いありません。実際に田んぼに行って見せていただいたのが、下の三枚の写真です。

Dscn0091

 1枚目が、稲がこうべを垂れている横に、2メートルくらいの草むらがあるだけの写真です・・・。といえば確かにそれだけで、ぱっと見は本当にそんな感じです。この草が生えている場所は、田んぼに暮らす生き物の、「逃げ場所」?的な役割を果たしているそうです。稲も育つと、田んぼの水を抜いてしまいますが、そんな時水の中に暮らしていた生き物の行き場になるそうです。確かに普通の田んぼに、これだけ広いスペースはつくらないと思います。

 この草むら的スペースと関係あるかないかはわかりませんが、無農薬?低農薬?で米を育てている農家さんも多いようですので、その田んぼの生物密度は相当に高いようです。見学時に、無農薬で米を育てた田んぼの稲刈りの時、白鷺やカラスが、コンバインの周囲に尋常ではない数集まっている写真を見せてもらいました。生物密度が高いですから、刈られた時に出てくる生き物の数も尋常ではないのでしょう。それを食べるために多くの鳥たちが集まるわけで、鳥たちがそれを一番よく知っているというわけです。まさに命はぐくむ田んぼなわけですね。

Dscn0090

 上の写真は、その命はぐくむ取り組みの一端である、魚道の様子です。ぱっと見は、壊れた木の板の固まりですが・・・。基本的に、水路と田んぼの隔絶によって、田んぼやその周辺に住む魚たちなどの生き物は激減したわけです。そのため、こういった魚道をつくりこのギャップを埋め生き物の往来を妨げないようにしようというわけですね。
 以前は、私の住んでいた田舎の田んぼでさえ、ナマズが産卵に来ていました。現在では、水路(というか、ただのどぶ川)に魚一匹いません。悲しい限りですが、こんな田舎の水路でさえ、こうしたものをつくらないとダメというのが、さらに私の心を悲しくさせるというものです。

 そういえば、川魚文化と「モロコ」の話というエントリーの中で、琵琶湖名物鮒寿司の話を少し書いたのですが、この鮒寿司つ使われているニゴロブナが激減しているとのことです。この魚道とは関係ないかもしれませんが、この田んぼで、ニゴロブナを増やす取り組みがされているそうです。

Dscn0092

 こちらの写真もただの草むらですが・・・、これがかなり重要な役割を持つ土地です。写真ではわかりにくいですが、結構広い土地です。田んぼに水を入れ、田植えの準備をする、しろかきと呼ばれる作業があるそうですが、これを近所中の田んぼが同時期にやると、大量の泥水がそのまま琵琶湖に流入することになるようです。その泥水を一旦この場所に留める役目をしているのがこの草むら・・とのことです。実際には水路のようになっており、このまま放置しているわけではなく、しっかり草刈りもされるそうです。

 この場所はただの泥水貯蔵所かと思いきや、実は生物の宝庫にもなっているそうで、滋賀県中探してほとんど見つからなかったある種のドジョウが、ここからだけで数百匹も見つかったとのことです。


Dscn0097

 上の写真は、町を流れる川が、琵琶湖に注ぐ最下流の場所で、以前から話に出ておりますNHKの番組でも、取り上げられていた場所です。一見大変美しい、そしてのどかな風景ではありますが、実は、この水面に浮いている浮き草が外来種で、ほっておけばいつの間にか水面を覆い尽くしてしまうそうです。ですから、これも刈り取りをしないといけないわけで、定期的にされているとのことです。なかなか美しく、豊かな自然を保つと言うことは大変なことです。

 私個人は、今回の旅行を通して、「琵琶湖を世界遺産にすべき」だということを強く感じました。はっきり言って、富士山は琵琶湖の次でいいです。ブラックバスがはびこっており、(それだけではないでしょうが)世界遺産入りは難しいと言われますが、これだけ豊かで独特な自然と、独自の文化をもち、そして、この琵琶湖を愛してやまないすばらしい人々が暮らすこの地の、世界遺産入りに何も問題はないと思います。そして、このすばらしさがあまりにも伝えられていない現状が残念でなりません。

 ブラックバスなどの問題は、時に宗教的な??論争にまでなるわけですが、私は、淡々と駆除するしかないと考えており、昔の、そして昔以上の豊かな自然を取り戻すプロジェクトには是非自分自身も参加していきたいとも思っています。皆様も、琵琶湖の自然を是非体感してみてはいかがでしょうか。

 人気blogランキングに登録しています。ぜひ清きクリックを!
 ↑↑クリック!
 BlogPeople「自然・科学」ブログランキングにも清きクリックを!
 ↑↑クリック!
 かなり前からツイッター始めています。よろしければfollowしてください。そんなにつぶやいていませんが。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2011年10月 | トップページ | 2012年1月 »