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2019/07/29

「銀行預金」とは何だろう?

前回、一緒に「おカネ」の仕組みを勉強しましょうと投げかけさせていただきました。ということで、今回は「銀行預金」についてのお勉強です。現在、銀行に口座を持っていない人はほとんどいないと思いますが、さてさて、その仕組みについて正確な知識をお持ちでしょうか。

銀行預金?、そんなの、お金を銀行に預かってもらうこと・・・と漠然と思っているそこのあなた、私と一緒に勉強しましょう。仮に、私が100万円の現金を持っているとして、それを銀行に預かってもらいましょう。手順的には難しくないと思いますが、100万円の現金を銀行の窓口に持ち込みます。すると、預金通帳にお預かり金額として、1000000円の印字がされ、渡した現金は銀行の金庫に入れられます。まあ、実際の銀行の業務を知りませんので、本当に金庫があるのか?支店長の引き出しにでも現金を入れているのか?そのあたりはわかりませんが。ということで以上終わりです。

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そこで、皆様に質問です。この、金庫の中に入れられた、私が持ち込んだ100万円の現金は、一体誰のものでしょうか。

どうでしょう。我々の常識としては、「やっぱり100万円返してください。私が100万円を預けたことは、この預金通帳が証明しています」といえば、普通に100万円の現金を返してもらうことができるので、その現金は私のものと考えるのではないでしょうか。あくまで、預かってもらっているというイメージです。しかし、残念ながらこのイメージは完全に間違いです。

実は、銀行の金庫の中にある現金は、「銀行のもの」です。我々の常識として、銀行の窓口だろうが、ATMだろうが、間違いなく預けた額の現金を下ろすことができますから、間違いなく自分のものと考えてしまいますが、誰が何と言おうと、絶対に「銀行のもの」です。そんなこと言ったら、私の100万円は銀行に奪われたのか??と思ってしまいますが、もちろん、奪われたわけではありません。

銀行に現金を持ち込んだ時、現金を「銀行のもの」とする代わりに、我々は別のものを銀行からもらっています。・・・・?、いや、何ももらっていませんが・・・と思うのも無理ありませんが、実はもらっているのです。上記例なら、私の預金通帳への、お預かり金1000000円の印字です。えっ~!!印字!!!という叫び声が聞こえたような聞こえないような気がしますが、そういうことなのです。まあ、印字というと何ですが、銀行からもらったこの印字の数字そのものを「銀行預金」と呼ぶわけです。銀行は、我々が現金を持ち込んだ際、同額の銀行預金を発行しそれを預金通帳に印字します。その代わり、現金は銀行の資産とするわけです。そう、銀行預金とは、デジタルな「数字」のおカネにすぎません。

現在、クレジットカードでも、インターネットでの取引でも、この銀行預金のやり取りだけで、特に現金を介さなくても物を買うことができます。従って、銀行預金は通貨のようにふるまうので、「預金通貨」と呼ぶ場合もあります。

しかし、疑問がわいてくる方もいるでしょう。結局のところ、我々が銀行から発行された「銀行預金」の金額と、銀行の金庫にしまわれた「現金」の金額は同じになるわけだから、その金庫の現金は、やっぱり「自分のもの」と考えてもいいのではないか?と。しかし、残念ながらこれも間違いです。実は、銀行の金庫にある「現金(注1)」よりも「銀行預金(預金通貨)」の方が何倍も多いのです。何倍も多い以上、自分のものと主張することはできません。

なぜ、銀行の金庫にある「現金(注1)」よりも「銀行預金(預金通貨)」の方が何倍も多いのか?。「あっ、そうか。銀行は、集めた現金を貸し出しに使っているから減るんだ・・・」なんて考えられた方は、素晴らしい発想、お考えですが、これがまた、全くの「大大大大大勘違い」で、この勘違いが「おカネの仕組み」を根本から理解しにくくしてしまっている・・・・というような話は次回以降に。

(注1:実際はマネタリーベースと定義されるおカネであり、預かった現金だけではありませんが、説明はおいおい。)

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