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2019/08/26

銀行預金と日銀当座預金

おカネの話をする時に注意することを2つ掲げておきます。基本的に素人である私がお金の理解を深めるうえで微妙だと感じてきたことですが、

①お金の説明をする時、現金(げんきん)が出てきたら気をつけろ!

②ニワトリが先か卵が先かの議論に深入りしない!

という2点です。おいおい、いままでさんざんに現金を使って説明しているではないかと突っ込まれそうですが、現金に関するややこしい説明を今のところ避けて、普段私たちが普通に使っている感覚で理解できそうな部分に関し、現金を持ち出しています。あまり言いたくはありませんが、現金で説明している方は内容の間違いが多いような気もします。また、どっちが先で、どっちが後だみたいな議論は、むしろおカネの仕組みの理解の妨げになりますので、あまり真剣に考えない方がいいかなあ?(私の力不足以外の何物でもない・・・)と考えている次第です。

さて、現在日本に存在するおカネの種類を大きく2つに分けなさいと言われたら、表題の「銀行預金」と「日銀当座預金」ということになります。えっ?現金は??といわれることを見越して前振りをしておきました。話が複雑になるだけなので、現金は考えません。また、その銀行預金や日銀当座預金はどこから来たんだ?的なニワトリ卵的な議論もしません。そこにあったものとして話を進めます。

復習しておきますが、銀行預金というのは、我々の資産であることは言うまでもありませんが、銀行にとっては、利息を払わなければなりませんから、負債ということになります。一方日銀当座預金というのは、銀行の銀行といわれる、日本銀行の中にある、各銀行の預金口座と考えればわかりやすいでしょうか。我々から預かった現金を日銀に持ち込めば、日銀当座預金の残高が増え、日銀から現金を各銀行が下ろしてこれば、日銀当座預金の残高が減ります。うむむ、現金を説明に持ち込まないといったばかりなのに・・・忘れてください。我々と銀行の関係と同じように、日銀当座預金は各銀行の資産であり、日銀にとっては負債となります。因みに現金紙幣は、本名日本銀行券といい、日本銀行の借用証書です。日本銀行に持ち込まれた現金紙幣は、自分自身に対するの借用証書なのでただの紙切れ、何の価値もありません。

そこで大事なことですが、我々庶民は日本銀行に口座を作ることができません。日本銀行には、銀行や政府(政府預金)しか口座を持つことはできないのです。従って、日銀当座預金というのは、日銀の中で、各銀行間や銀行と政府とのやり取りにしか使われない、日銀の中で閉じているおカネであるということを理解しなくてはなりません。ですから、おなじ「おカネ」という言葉を使っても、また、単位は同じ円であるにもかかわらず、銀行預金を日銀当座預金へ振り込むというようなことは絶対にできません。もちろん逆の日銀当座預金を銀行預金へ振り込むこともできません。

具体的な業務を考えてみましょう。我々は銀行預金の振り込みで、買い物をすることができます。例えば、私がある店で、1万円の買い物をしたとしましょう。また私はA銀行に銀行口座を持ち、お店はB銀行に銀行口座を持っているとしましょう。ということで、A銀行からB銀行へ1万円の振り込みを行います。すると、A銀行にある私の銀行預金残高が1万円減り、B銀行にあるお店の銀行預金残高が1万円増えます。ここまでは理解可能かと思いますが、これではB銀行が負債である銀行預金を1万円分押し付けられたことになってしまいます。そのため、A銀行とB銀行の間で、日銀当座預金のやり取りが裏で行われます。すなわち、A銀行の資産である日銀当座預金1万円がB銀行の日銀当座預金へ振り替えられるのです。A銀行にとっては、負債である私の銀行預金1万円が消えてくれましたが、代わりに日銀内の資産である日銀当座預金1万円がなくなってしまい、プラスマイナスゼロ、B銀行も同じで、負債である銀行預金1万円を押し付けられましたが、資産である日銀当座預金1万を得てプラスマイナスゼロとなります。

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ということで、このおカネの流れを理解していいただいたうえで、出てきそうな疑問が、「おい、現金はどうなんだ!」という話です。現金の話をすると、この銀行預金と、日銀当座預金が交錯するため、このエントリーを間に置きました。次回から、マネタリーベース、マネーストックの話をしていきたいと思います。

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2019/08/22

世にはびこる「信用創造モデル」を切る!

前回信用創造について説明しました(預金準備制度と信用創造の本質)。基本的に借金(シャッキン)をするとき、その貸し出されるおカネというのは「銀行預金」であること、その銀行預金は誰かの銀行預金を拝借するのではなく、銀行が新規に発行していること借金(シャッキン)を正しく理解すること!)、そして、この銀行による新規銀行預金の発行を信用創造というわけですが、この銀行による新規の銀行預金発行の根拠が、準備預金制度という話でした。

しかし、世間一般、例えば高校の教科書とか?大学の経済学の教科書とか?(見たことないので知りませんが)はっきりお示しできるのはWikipediaの信用創造のページ、その他多くの識者の説明、動画、などでは別の説明がされています。Wikipedia的に言うと、私的な説明は、異説、とされるようです。通説が正しいか、異説が正しいか、皆様よくよく考えてください。と言いつつなんですが、これこそ典型的経済学の右回り左回り(完全な誤りとは言えないが、本質が見えなくなり、誤解を与える)だと考えています。

世間一般の信用創造のモデルは、非常にややこしいので図を見ながら、一つ一つたどってみてください。下の図は、それでも登場人物を減らした簡単バージョンです。また、多くの信用創造モデルは、基本的に準備率をわかりやすく10%としていることが多いので、今回のエントリーは準備率10%で統一します。また準備金というのは、日銀に預ければ日銀当座預金と同義です。あと、下記説明は、誤りや誤解を招きやすいように、わざと言葉を選んでいます。そんなことは書いていないとかのご指摘はご容赦願います。このモデルは、貸し出しを現金で行うのが特徴です。

①山田さんが根源的資金、現金100万円をA銀行に預金する。

A銀行は、現金100万円のうち10%の現金10万円を準備金として残し、残りの現金90万円を貸し出すことができる。

③田中さんが現金90万円を借金して借りる。田中さんはとりあえず手にした現金90万円をB銀行に預金する。

B銀行は、現金90万円のうち10%の現金9万円を準備金として残し、残りの現金81万円を貸し出すことができる。

⑤佐藤さんが。現金81万円を借金して借りる。佐藤さんはとりあえず手にした現金81万円をC銀行に預ける。

⑥図には書いていませんが、以後、準備率10%分の現金を残して残りを貸し出すことを繰り返す。

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上記のモデルで説明したいのは、おカネが増えていく仕組みです。最初は山田さんの現金100万円だけだったのですが(根源的資金)、いつの間にか貸し出しを繰り返すことにより、山田さん、田中さん、佐藤さんの3人の預金通帳には、それぞれ100万円、90万円、81万円=271万円の預金があることになります。あら不思議、100万円が勝手に増えました!!!というお話です。この“いつの間にかおカネが増えている感”がこのモデルの最大の特徴でしょう。ちなみに、このまま永遠貸し出しを繰り返すと、最大でいくらまでおカネが増えるのかを計算することができます。ご興味があれば計算していただきたいのですが、結果的に根源的資金を準備率で除した額に膨れ上がることになります。準備率が10%であれば10倍、1%であれば100倍となります。

まずは上記世間バージョンモデル(又貸しモデルというらしい)を十分理解してください。そのうえで、私がこのモデルの批判を始めたいと思います。批判というか、誤解されやすいことを列挙してみます。

①準備率に伴う準備金は、一体何の準備なのか、この説明では、残りを貸し出すための準備であると勘違いする可能性がある。あくまで、準備金とは発行した銀行預金の準備である。例えばA銀行の準備金10万円は、山田さんに発行した銀行預金100万円に対する準備であって、90万円の貸し出しのための準備ではない。

②信用創造の説明のはずなのに、信用創造されている瞬間が一体いつなのか全く分からない。まさに“いつの間に感”が強く、信用創造(おカネが増える)とは、現金のやりとりで自然に知らない間に起きるものだと勘違いする。あえて言えば、田中さんと佐藤さんが、現金を銀行に預けたときに銀行預金が生まれるため、この瞬間が信用創造と勘違いする可能性がある。

③②に関連して、銀行預金とは、あくまで現金のやりとりの結果であると勘違いする可能性がある。(現金がないと銀行預金は生まれないと信じている人を見たことがある・・・。)

信用創造の瞬間は、貸し出しの瞬間です。貸し出しの瞬間に「銀行預金を新規に発行する」のが信用創造なのですが、直接現金を渡してしまっているため、その瞬間がこのモデルでは出てこないのです。しかし、本来、銀行手持ちの現金は直接貸し出しには使えません(銀行に預けられた現金の秘密)。正確には、A銀行の田中さんに対する貸し出しは、90万円の銀行預金の新規発行であり、その上で、A銀行の田中さんに今発行された銀行預金をおろす形で(交換する形で)90万円の現金が山田さんの手元に届くわけです。ものすごく細かい話をすると、一瞬田中さんに90万円の銀行預金を発行しているため、準備金9万円を日銀に預けた上で、すぐにそれをおろして、90万円の現金を渡していることになります(そこまではいいか・・)。結果、田中さんのA銀行の預金残高はゼロになるので、そのまま現金を手渡ししているのと同じ事なのですが、この手順の省略について説明をしている解説を見たことがありません。

何が言いたいのかというと、信用創造による銀行預金の増加は、“いつの間にか”増えたのではなく、貸し出しの時に銀行預金を新規に発行しているから増えているのです。実に当たり前の話です。それがこの又貸しモデルではわざと分からないようにしているとしか思えません。

④この又貸しモデルは、最初に導入された根源的資金(山田さんの100万円)の現金をつかってしか貸し出せないことを前提とした特殊モデルである。

そもそも根源的資金の現金を使ってしか貸し出せないという、非常に特殊な条件を入れている理由が分かりません。上にも書きましたが、おかげで、世の中のおカネ=現金だと思っている方が少なくありません。最大どれくらい貸し出せるかということを理解するためには、下記の図のような説明で十分です。山田さんが現金100万円をA銀行に預け、100万円の銀行預金を発行してもらった後、A銀行は、手にした現金100万円をすべて準備金として日銀に預ければいいのです。すると、A銀行が扱える銀行預金の額は、100万円を準備率10%で除した額(つまり10倍)である、1000万円となります。すでに山田さんに100万円の銀行預金を発行しているため、A銀行が田中さんへの貸し出しに使える最大の金額は900万円(の銀行預金)ということになります。貸し出しを繰り返す必要は全くありません。

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という上の図の説明をすると、田中さんが現金で900万円借りたいと言ったらその現金がないじゃないか!!というお叱りを受けるかもしれません。その通り、この説明では現金による貸し出しはできません。そもそも、根源的100万円の現金があったら、最大いくらの銀行預金を信用創造できるかというモデルですから、はなから、現金による貸し出しを想定していないだけの話です。しかし、良く考えてみてください。世間一般にでまわる又貸しモデルも実は全く同じです。佐藤さんまで貸し出しが終わったところで、最初に100万円を銀行に預金した山田さんが、現金100万円を下ろしに来たらどうするのですか。A銀行には10万円しかありませんよ。もちろん、田中さんも、現金を引き出せません。つまりこの又貸しモデルは、預金した人は現金をおろさないことを条件に、さらに根源的100万円の現金しか貸し出しに使えないということを条件とし、最大いくらの銀行預金を信用創造できるのかというモデルと言うだけのことです。

ということで、世間的な教科書的事項に喧嘩を売ってみました。ただおカネの仕組みをもう一段理解するためには、日銀当座預金に関する理解と、マネタリーベース、マネーストックを正しく把握する必要があります。次回以降、そのあたりを一緒に勉強しましょう。

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2019/08/17

預金準備制度と信用創造の本質

経済学用語に「信用創造」という言葉があります。前回の借金(シャッキン)を正しく理解すること!で説明したように、我々が借金(シャッキン)する時、銀行は銀行預金というおカネを新規に発行して我々に貸してくれるのですが、このおカネを新規に発行することを信用創造と言います。我々の借用証書という信用のおけない紙切れを、銀行預金という信用があって誰もが交換価値を認める信用のおけるものに生まれ変わらせてくれるというイメージでしょうか。

と言うことで、信用創造の説明は下記の図以外の何者でもありません。貸し出しの時に銀行が行う、新たな銀行預金(預金通貨)の発行です。

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ところで、銀行は、我々の銀行預金を管理しているわけですが、この各銀行の管理しうる銀行預金の額は、準備預金制度(準備預金制度に関する法律)で制限されています。現金の引き出しに備えるためとのことですが、日本銀行のホームページ(教えて!にちぎん)に書いてあるこの制度の説明を下にコピペしておきます。

準備預金制度とは、対象となる金融機関に対して、「受け入れている預金等の一定比率(これを「準備率」といいます)以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付ける制度です。このようにして日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を、「法定準備預金額」(または所要準備額)といいます。

この日銀の説明は、微妙に説明不足なのですが、それはおいておいて・・・。準備率の具体的な数字は、準備預金制度における準備率というページがありますので参照してください。0.05%~1.3%(預金の種類、額によって違う)ですので、まあ、1%位と考えていいでしょうか。具体的にどういうことかというと、この準備率を1%と仮定して、例えば私が100万円の現金を銀行に預金したとします。すると、銀行は、私に銀行預金100万円を発行し、現金は銀行のものにすると説明しました(銀行預金とは何だろう?)。この時、銀行は、私に銀行預金100万円を発行したので、その1%にあたる準備金を、日本銀行に預けなくてはならないということです。すなわち、銀行が手にした現金100万円のうち、1%の1万円を日銀に預ける必要があるのです。日銀には、各銀行の口座があり、その口座にあるおカネのことを、日銀当座預金と言いますが、銀行は現金1万円を日銀に持ち込むことによって、日銀当座預金1万円を発行してもらうわけです。準備預金制度の要求する1%の1万円の日銀当座預金があることで、私の銀行預金100万円を銀行が扱うことが合法化されます。

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この預金準備制度を別の見方で考えてみましょう。上記も下記もあくまで説明のためのモデルですので、実務では矛盾が生じる可能性がありますが、余り深く考えないでください。日銀当座預金に1万円があることで、私の100万円の銀行預金の存在が合法化されると言いました。であれば、日銀当座預金を2万円にしたらどうでしょうか。私から預かった100万円の現金(銀行のもの)のうち、1%の1万円ではなく、2万円を日銀に預け、日銀当座預金残高を2万円にするのです。すると、この銀行は、あと100万円の銀行預金を扱えるようなると考えることができます。そう、この銀行はこの状態で、例えばAさんが100万円の借金(シャッキン)を申し出て来たら、100万円の銀行預金を新規発行(信用創造)して貸し出すことができるのです。私の銀行預金が100万円、Aさんに貸し出した新規発行した銀行預金が100万円、併せて200万円の銀行預金をこの銀行は扱っており、日銀当座預金はその1%の2万円がちゃんと積んであるので、準備預金制度に合致している、ということで問題ありません。もちろん、もう1万円の現金を日銀当座預金に預けて、日銀当座預金残高を3万円にすれば、さらに100万円の銀行預金を新規発行(信用創造)できるので、別のBさんに100万円の銀行預金を貸し出すことができるという具合で、貸し出しによりどんどん銀行預金を(この世のおカネを)増やすことができるのです。ちなみにおおよそですが、このようにおカネが増えるということは、=経済成長を意味すると考えていいでしょう。

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ということで、私が何を説明したかったかと言うと、借金(シャッキン)=信用創造=おカネの創造=この世のおカネが増える・・・という相対性理論もびっくりのこの現実を、市中銀行が行っている法的根拠がこの預金準備制度に他ならないということです。

ただ、この信用創造の説明は、世間で普通に教えられている信用創造の説明とは全く違うと思われます。教科書的な信用創造の説明を次回お示ししますが、これがとても恣意的に、信用創造を誤解させるよう誘導しています。なんて、素人に言われていていいのでしょうか。それとも私が間違っている??とは絶対に思っていませんが、教科書が間違っているのか、私が間違っているのか、皆様さらにお勉強して判断してみてください。

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2019/08/13

借金(シャッキン)を正しく理解すること!

相対性理論を聞かされて、それが理解できる人はほとんどいないでしょう。時間が短くなる?空間がゆがむ??、何それ?、空間はゆがんでも空間では??とか素人の枠から出ることはたやすくありません。しかしある意味、借金(シャッキン)の仕組みを理解することは、それ以上に覚悟がいることかもしれません。とにかく常識から抜け出ないと理解できませんが、その常識を覆すことはたやすいことではないのです。何しろ、結構な経済の専門家も、大事なところで間違えていますから・・。

借金(シャッキン)の仕組み、特にたいした秘密はないような気がしますが、そんなことはありません。通常我々は、下の図のような理解をしていると思います。銀行が預金を集めて、その預金(現金)を我々が借りる。以上終了という感じでしょうか。まあこの説明、経済学の右回り左回りで間違いとは言えませんが、この理解では肝心なことが分かりませんし、誤りにも気づきません。

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まず、基本的なことをおさらいしましょう。我々が現金を銀行に預けた場合、我々には銀行預金というデジタルなおカネが発行され、現金そのものは銀行のものになるということでした(銀行預金とは何だろう?)。ですから、我々の銀行預金の額はそのままに、銀行の手持ちの現金を他人へ貸すことは可能です。が、銀行手持ちの現金は、そのままでは外に出してはいけないものでした(銀行に預けられた現金の秘密)。必ず、銀行預金の残高を減らす形で世に出る(現金をおろす)必要があるわけです。

と言うことで、私が例えば住宅ローンなどでおカネを借りる(借金シャッキンをする)時の仕組みをお話しします。といいつつ、実際の業務は知りませんので、多少の手順の違いはご了承ください。最も大事な事項、それは銀行が我々に貸してくれるおカネ、それが「銀行預金」であることです。住宅ローンで1000万円銀行から貸してもらえるとしたら、銀行預金を1000万円貸してもらえるのです。つまり、私の通帳に1000万円の印字がされ、銀行預金というデジタルなおカネが私に発行されるのです。決して、現金を直接借りているわけではありません。

そして、銀行はただで我々にお金を貸してくれるのかというともちろんそうではありません。担保などと言い出すとまた話がややこしくなりますが、基本的には私たちが書く、「必ず利息何%、月々何万円ずつ返済します」という借用証書という約束と引き換えに銀行預金を貸してもらえるということになります。ちなみにとっつきにくい話かもしれませんが、この借用証書は銀行にとって、資産となります。何しろその紙切れを持っていると、おカネが振り込まれてきますからね。

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ところで、よく世の中の借金(シャッキン)の解説をみていると、その貸し出しはほとんど現金を使って説明されています。貸し出されるおカネは銀行預金であるため、なぜ現金で説明されるのか不明ですし、むしろ理解を妨げています。あくまで現金で支払いが必要だということであれば、ただただ、借りた銀行預金を現金化(銀行預金残高をゼロにして銀行手持ちの現金を受け取る、いわゆる現金をおろす行為、または銀行預金と銀行手持ちの現金を交換する)するだけの話です。

さて問題は、私に発行された住宅ローンの1000万円の銀行預金ですが、一体どこから来たかということです。誰か他人の銀行預金を借りたのでしょうか。いやいや、もし誰かの銀行預金を借りたのであれば、その人の銀行預金が減ってしまうはずです。通常、「誰かに貸したので、あなたの預金は減りました」なんていうアナウンスを聞いたことがありませんし、実際に通帳の残高が減っていたなんていう経験はしていません。現実にこのおカネは誰からも借りていないのです。ではどこから来たのか。答えは、銀行が、新たに銀行預金を発行したのです。ありていの言葉で言えば、銀行が銀行預金というおカネを作り出して貸してくれるのです。わかります?。我々が銀行で借金(シャッキン)すると、銀行がこの世の「銀行預金」というおカネを増やして、我々に貸してくれるのです。こうして借金(シャッキン)によって銀行が銀行預金を増やすことを「信用創造」と呼びますが、英語ではmoney creation まさに貨幣創造と言うのです。

この信用創造については、また詳しくお話しするとして、借金(シャッキン)=おカネの創造、借金=おカネが増える、市中銀行がおカネを作って増やしている、ということを皆様ご存じだったでしょうか。ちなみに、借金の返済というのは、貸してくれていた人にお返しするイメージですが、実際は誰からも借りず、作り出されたものなので、返すわけではないのです。ただ単に、増やした銀行預金の残高を減らすだけです。借金を完済すると言うことは、借りたときに増えた銀行預金が、ゼロに減ると言うことです。借金の返済=おカネが減るってことも、皆様ご存じだったでしょうか。

借金(シャッキン)の仕組みをご理解いただけましたでしょうか。この銀行がかってにおカネを作り出す仕組みを信じることは、私的に、相対性理論の時間が短くなるなどという話よりも信じがたいというイメージでしたが、皆様はいかがでしょう。この仕組みを知っていない方が、全く嘘の情報を垂れ流していることがあるので、注意が必要です。ちなみに、政府が国債を発行して借金(シャッキン)をしても銀行預金は増えます。「家計の預金額を超えると、国債をこれ以上借りられないので破綻する」なんて良く聞きますが、別に家計の預金を借りているわけではなく、新規銀行預金の発行ですから関係ありませんし、国債発行でむしろ預金額は増えるので、家計の預金がどんどん減っていく事なんてあり得ないのです。

ということで、今後も信用創造の話、マネタリーベース、マネーストックの話などいっしょに勉強していきましょう。

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2019/08/06

銀行に預けられた現金の秘密

表題に掲げたような話は全く世の中に出てこないので、ここで書いておきます。世の中に出ないどころか、経済学の右回り左回りで、いかようにも説明できるため、経済を勉強している方でも勘違いされている方が少なくないお話です。

前回の「銀行預金とは何だろう?」を復習してみましょう。我々が現金を銀行に持ち込んだ場合、「現金を預かってもらう」というイメージですが、実際は違うという話でした。我々は「銀行預金」というデジタルな数字のおカネを発行してもらい(あえて言えば通帳への印字)、その代わり現金自体は銀行のものになるということでしたね。

非常に頭のいい方は、まるで現金が「銀行預金」と「現金」の2倍になったかのような話に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。これは非常に難しく、この話こそ専門家でも勘違いしていることが多い事象です。別の機会にも話すと思いますが、今回はさわりを説明します。

ここで、大事なことを一つ説明し忘れていました。銀行預金というデジタルなおカネというのは、銀行が管理はしていますが、間違いなく我々のもの(資産)だと言うことです。決して銀行のものではありません。銀行にとっては、我々の銀行預金に利息を払わなければならないため、銀行のものどころか銀行にとっては「負債」となります。その代わり、預かった現金は「銀行のもの(資産)」と言うわけです。ですから、銀行にとって銀行預金を発行し現金を金庫にしまうというのは、ただただプラスマイナスゼロと言うだけで、決しておカネが2倍になった訳ではないのです(注1)。

さて、そこで表題の、銀行の「金庫の中の現金」ですが、これは絶対に銀行のものと言いきりました。であれば、銀行はこのおカネを自由に使うことができるのでしょうか。特に問題無く自由に使えそうですが、実はこれが全く自由には使えません。「金庫の中の現金」というのは、勝手に世に出して使ってはいけないおカネなのです。

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使えないお金である銀行の「金庫の中の現金」を、世間一般で使えるお金にするにはどうしたらいいのか。それは、我々が現金の預け入れをする行程と全く逆のことをすればいいのです。難しく考える必要はありません。我々が日常普通に行っている、「現金をおろす」行為を行えばいいのです。つまり、銀行の窓口でも、ATMでもいいですが、例えば、10万円の現金をおろすのです。そうすると、何かが変わっていませんか?。そう、例えば私が10万円をおろしたとしたら、私の銀行預金の残高が必ず10万円減っています。銀行の「金庫の中の現金」が世の中に出るためには、必ず誰かの銀行預金の残高を減らす、別のいい方をすれば、銀行預金との交換をする必要があるわけです。

先ほどの話と同じなのですが、銀行預金は銀行の負債、金庫の中の現金は銀行の資産ですから、銀行の資産の現金が外に出てしまう(銀行のものではなくなってしまう)代わりに、負債の銀行預金が減ってくれるので、銀行にとってはプラスマイナスゼロで損得ありません。どうしても銀行のおカネだからといって、銀行の支店長がそのお金を使いたくても、ちゃんと支店長の預金残高を減らさなくては、たばこもアイスも買いには行けないということです。

ちなみに、銀行は、金庫の中に現金をたくさん持っていると、銀行強盗などのリスクがあるからでしょう、あまり現金は持ちたくないようで、銀行の銀行と言える日本銀行(日銀)に現金を預けます。日本銀行には、各銀行の口座があり、その預金のことを日銀当座預金と言います。我々が銀行へ現金を預金し、現金を下ろすように、銀行は日本銀行に現金を預け、日銀当座預金をおろす形で、現金を調達するわけです。繰り返しますが、こうして調達した銀行手持ちの現金は、世間で使えませんからね。誰かが、銀行預金を減らす形でおろさないと、世に出ませんよ。

と、銀行手持ちの現金について書いてきたのですが、一般に、我々が銀行からおカネを借りる事を説明する場合、ごく普通に銀行から現金が貸し出されるモデルで説明されます。典型的な経済学の右回り左回りですが、銀行から直接現金は借りられません。なぜなら、誰かの銀行預金を減らさなければ現金は世の中から出てこないからですが、そのあたりの説明は次回です。そしてこれが、おカネのシステムの山ですが、ご興味のある方は、引き続き私と勉強しましょう。

(注1)若干説明不足の可能性がありますが、おいおいご理解いただけると思います。

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