預金準備制度と信用創造の本質
経済学用語に「信用創造」という言葉があります。前回の借金(シャッキン)を正しく理解すること!で説明したように、我々が借金(シャッキン)する時、銀行は銀行預金というおカネを新規に発行して我々に貸してくれるのですが、このおカネを新規に発行することを信用創造と言います。我々の借用証書という信用のおけない紙切れを、銀行預金という信用があって誰もが交換価値を認める信用のおけるものに生まれ変わらせてくれるというイメージでしょうか。
と言うことで、信用創造の説明は下記の図以外の何者でもありません。貸し出しの時に銀行が行う、新たな銀行預金(預金通貨)の発行です。
ところで、銀行は、我々の銀行預金を管理しているわけですが、この各銀行の管理しうる銀行預金の額は、準備預金制度(準備預金制度に関する法律)で制限されています。現金の引き出しに備えるためとのことですが、日本銀行のホームページ(教えて!にちぎん)に書いてあるこの制度の説明を下にコピペしておきます。
準備預金制度とは、対象となる金融機関に対して、「受け入れている預金等の一定比率(これを「準備率」といいます)以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付ける制度です。このようにして日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を、「法定準備預金額」(または所要準備額)といいます。
この日銀の説明は、微妙に説明不足なのですが、それはおいておいて・・・。準備率の具体的な数字は、準備預金制度における準備率というページがありますので参照してください。0.05%~1.3%(預金の種類、額によって違う)ですので、まあ、1%位と考えていいでしょうか。具体的にどういうことかというと、この準備率を1%と仮定して、例えば私が100万円の現金を銀行に預金したとします。すると、銀行は、私に銀行預金100万円を発行し、現金は銀行のものにすると説明しました(銀行預金とは何だろう?)。この時、銀行は、私に銀行預金100万円を発行したので、その1%にあたる準備金を、日本銀行に預けなくてはならないということです。すなわち、銀行が手にした現金100万円のうち、1%の1万円を日銀に預ける必要があるのです。日銀には、各銀行の口座があり、その口座にあるおカネのことを、日銀当座預金と言いますが、銀行は現金1万円を日銀に持ち込むことによって、日銀当座預金1万円を発行してもらうわけです。準備預金制度の要求する1%の1万円の日銀当座預金があることで、私の銀行預金100万円を銀行が扱うことが合法化されます。
この預金準備制度を別の見方で考えてみましょう。上記も下記もあくまで説明のためのモデルですので、実務では矛盾が生じる可能性がありますが、余り深く考えないでください。日銀当座預金に1万円があることで、私の100万円の銀行預金の存在が合法化されると言いました。であれば、日銀当座預金を2万円にしたらどうでしょうか。私から預かった100万円の現金(銀行のもの)のうち、1%の1万円ではなく、2万円を日銀に預け、日銀当座預金残高を2万円にするのです。すると、この銀行は、あと100万円の銀行預金を扱えるようなると考えることができます。そう、この銀行はこの状態で、例えばAさんが100万円の借金(シャッキン)を申し出て来たら、100万円の銀行預金を新規発行(信用創造)して貸し出すことができるのです。私の銀行預金が100万円、Aさんに貸し出した新規発行した銀行預金が100万円、併せて200万円の銀行預金をこの銀行は扱っており、日銀当座預金はその1%の2万円がちゃんと積んであるので、準備預金制度に合致している、ということで問題ありません。もちろん、もう1万円の現金を日銀当座預金に預けて、日銀当座預金残高を3万円にすれば、さらに100万円の銀行預金を新規発行(信用創造)できるので、別のBさんに100万円の銀行預金を貸し出すことができるという具合で、貸し出しによりどんどん銀行預金を(この世のおカネを)増やすことができるのです。ちなみにおおよそですが、このようにおカネが増えるということは、=経済成長を意味すると考えていいでしょう。
ということで、私が何を説明したかったかと言うと、借金(シャッキン)=信用創造=おカネの創造=この世のおカネが増える・・・という相対性理論もびっくりのこの現実を、市中銀行が行っている法的根拠がこの預金準備制度に他ならないということです。
ただ、この信用創造の説明は、世間で普通に教えられている信用創造の説明とは全く違うと思われます。教科書的な信用創造の説明を次回お示ししますが、これがとても恣意的に、信用創造を誤解させるよう誘導しています。なんて、素人に言われていていいのでしょうか。それとも私が間違っている??とは絶対に思っていませんが、教科書が間違っているのか、私が間違っているのか、皆様さらにお勉強して判断してみてください。
かなり前からツイッターに登録しています。あまりつぶやいていませんが。
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